アルさんのつまみ食い4

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サンタ・カロリーナのイベントに参加 ~2019年秋~ @東京


久しぶりにサントリーのご担当からメール連絡を頂戴し、チリのワイナリー「サンタ・カロリーナ」のイベントに参加してきた

近所のスーパーマーケットの棚にもよく見かけるカジュアルラインの「サンタ」はこれまでもたくさん飲んだ記憶があるけれど、1875年まで起源をさかのぼるこの歴史あるワイナリーはチリを代表するワイナリーであり、またワイン・エンスージアストにより世界のベスト3に入るような高い品質のワインを造っている


週末の金曜日。指定された会場は南麻布のチリ大使公邸。大使公邸、ふつうに日常生活を過ごしていて訪問するような用事があるような場所ではない。久々にスーツを着て家を出ることにし、夕方になってネクタイを締め、少々緊張しながら会場へ向かう




不運にも地下鉄の運賃引き上げを起因として発生したチリにおけるデモの影響により生産者の来日が出来なくなってしまったことに加え、当イベント開催日は夕方近くまでドシャ降りの大雨に見舞われるなど波乱の予感を孕んだものではあったものの、会社を出るころにはほぼ雨は上がっていた。浜松町の大門から都バス06番に乗りこみ四ノ橋で下車、そこからしばし歩いて南麻布の会場に到着




住宅街にあるその会場の入り口ではサントリーのご担当が出迎えてくれ、ウェルカムドリンクとして提供頂いたのがサンタのスパークリング。これに合わせてウニを使った小皿もサーブして頂く





テーブルに移動して、来日できなかった生産者に代わりサントリーでサンタ・カロリーナを担当する方からワイナリーの概要とワインの説明を頂いた

2007年にEPAを締結して以降、段階的な関税引き下げにより安価で良質のチリワインが日本市場を席捲しているというのが現在の日本市場におけるチリワインの状況だが、今後はワイン生産に適したチリにおけるより高品質でより高価格帯のワインをアピールし展開していこう、というのがサントリーの戦略のようだ。なるほど、ハイボールブームを仕掛け、巷において山崎や白州といったジャパニーズが店頭の棚から消えてしまうほどにウイスキーを流行らせたサントリーマーケティングの方向性がワインにおいては今そこに向いているのか、というのがなかなかに興味深い





今回のイベントはサントリーがサンタ・カロリーナとタイアップして新たに手掛けた「エスト レゼルヴァ」シリーズが主役。日本市場に向けてどのような味わいのワインが適しているのか、よくよく味わいを練り上げ、仕上げたものとして19年10月にリリースしたもの

ラベルには星があしらわれているが、そういえばチリの国旗にも星が入っている。少し前に「ブラックホールの姿を世界で初めて撮影した」というニュースが話題になっていたけれど、その観測をしたアルマ観測所はチリにあるのだそうだ。それほどまでにチリは星の観測に適した場所であるらしく、サントリーとしてもこの「星」をブランドのシンボルとして使うことにしたとのこと。余談になるが、同じくチリワインでは”コノスル”やコンチャ・イ・トロの”サンライズ”などが有名だが、それぞれ自転車と太陽がシンボルになっていることに対抗して星を引っぱってきたということも背景にはあるようだった

ちなみにこの「エスト」というネーミングは、ともすればイタリアはラツィオ州を代表するワイン「エスト!エスト!!エスト!!!ディ・モンテフィアスコーネ」を連想してしまうが、スペイン語で星のことをESTRELLA(エストレージャ)というらしい。その”エスト”を名前に頂いたものということらしいのだが、話はまだこれだけでは終わらず、星が輝く夜にちなんでブドウはすべてナイトハーベストで収穫しているという。さすがはサントリー、何ともロマンチックな物語りをこのワインには持たせたものだと思う





テイスティングさせて頂いたワインは3種類

エスト レセルヴァ シャルドネ 2018
エスト レセルヴァ カベルネ・ソーヴィニヨン 2017
エスト レセルヴァ シラー 2018



いずれもチリワインらしいフレッシュな果実味に溢れており、滑らかなテクスチャーと程よい酸が心地よい。それぞれに品種の特徴を無理なく自然に表現していると思った。生産者自身が日本食、とくに焼き鳥、串揚げ、たこ焼き、さらには豚骨ラーメンなどが大好きなんだそうで、そうした日本の食事に合うようなワイン造りを意識して仕上げたというこれらワインの味わいは確かに日常の食卓にも合わせやすく、カジュアルな印象も併せ持っているように思う

価格帯は1000円を少し超えるあたりを想定しているようだ。同じくサントリーが手掛ける”ワンコイン”ワインの「サンタ」よりは味わいの成分に富んでおり物足りなさは感じないものの、コノスルやサンライズあたりと真っ向からぶつかってくる価格でもある。なかなかにシビアな市場を攻めている商品だといえると思う

特に1000円前後のワインはその辺のスーパーマーケットの棚にもよく並んでいるし、自社ブランドの「サンタ」ともカニばってしまう恐れもあるんじゃないかという気がする。これについて担当の方が言うには、500円レンジのワインを他のブランドの商品を含めグルグルと回っている消費者もいるのだそうで、そこに対してもう少し良いワイン、すなわち1000円くらいでより品質の高いワインをリリースすることで消費者にその品質の良さに気づいてもらい、徐々に消費者の嗜好と単価を上げていこうという戦略なのかも知れない

そういう点で言えば、星をあしらった美しいラベルは消費者の目を惹くだろうし黒のベースカラーには高級感も感じられる。そんなワインが1000円そこそこということであれば手に取ってみる消費者は多いのではないだろうか。そして「エスト」のおいしさに気づいてくれれば十分にリピートしてくれる可能性はある。概ね、サントリーの狙いは当たっているような気もしてくる






”大人の事情”でここに書くことはできないけれど、イベントではサントリーがまだリリースしていないナイショのワイン2種(赤と白)もテイスティングさせて頂いたのだが、こちらもかなりのレベルに仕上がっている気がした。仕上がっている、と言ってしまったが実際にはまだ味わいの調合に悩んでいる部分もあるそうで、チリのデモがなければ本来であれば生産者自身がこのイベントに参加し我々ワインブロガーのコメントを踏まえて味わいの志向を決定しようとしていたそうなのだが、いやはや、生産者にお会いできなかったのは何とも残念ではあるもののすでによくできた2種類のワインだったと思う。いずれ「エスト」のラインナップに加わってくるのもそう先のことではないのではないだろうか



この日ワインに合わせた料理はチリ人シェフによるもの。チリは日本と同様に海に広く面した国であるため海産物もよく食されているそうだ。そして素材を生かした料理が多いという点も特徴のようで、この日の料理もシンプルな味付けが我々日本人の口にはよく合うと思うし、「エスト」を意識して作られたというこれらの料理はさすがに大変よくワインと相乗した


◇マスのタルタル仕立て、アトランティックサーモンのセビーチェ


◇アスパラガスとベーコン レモンの風味


◇ブランデーでマリネした鶏肉 キノコのピュレとマッシュドポテトを添えて


◇ローストビーフのグレービーソース 蒸した野菜と共に


◇さまざまなベリーにクリームを添えて



チリ大使公邸という場所柄、さすがに大使はご出席されなかったもののチリ貿易振興局日本オフィス代表のハイメ(Jaime)さんが同席され、チリの風土、料理、ピスコなどチリのお酒事情などに関する参加者のさまざまな質問にも丁寧に回答してくれたしチリという国をより理解し身近に感じられるイベントだったように思う

海に面している、火山がある、地震もあって津波も来る、四季がある、といった地理的な日本との共通性に加えて、海産物もよく食べるし(驚いたことに”コチャユーヨ”というチリ特産の海藻も食べるのだそうだ)味付けもシンプルで食生活面での共通性も感じられた。しかし味噌や醤油のような発酵調味料はこの国では作られていないそうで、そのあたりの文化の違いは興味深かった


毎度のことながらこのような機会を提供してくれたサントリーの方々には感謝を示したい







SANTA CAROLINA
Til Til 2228, Macul.Santiago. Chile.



今回のサンタカロリーナのイベントに参加した手練れのブロガーさん達のサイトはこちら


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