アルさんのつまみ食い4

旅と食とワインと・・・ずっと続けます

労働のうた


1年ぶりの演奏会が終了した。今年の曲はナットアダレイの”Work Song”(ワーク・ソング)。ナットアダレイが1960年にリリースた同名のアルバム「Work Song」の1曲目に収められており、ギターはウェス・モンゴメリーが担当





いまのところ年に一度くらいしか人前で演奏しないものの、こうして外に出ていくと他の楽器のパートの人と情報交換もできるし、ギタリストが普段どのような練習をしているのかも聞くことができて参考になる。また同時に自分自身もあらためて音楽と向き合い、音楽に対する姿勢について考え直すよい機会にもなっている

人前で演奏するというのは自宅で練習しているのとまったく異なる体験であり、場数も踏んでいないということもあるのかも知れないが全然慣れない。緊張すると身体の末端にある指先は冷たくなり、こわばってしまう。そんな状態でステージに上がってしまえばピックを持つ指先は少し震えてしまうし汗でニュルニュルしてしまうし、自ずとピッキングも不安定になる。「え!こんなところでミスするのかオレ!?」というようなところでミスをすることにもなる

演奏後、知り合いのギターの先生が「ギターはさ、(手の指を動かしつつ)これじゃないんだよ。ハートでポン!なんだよ」と言っていたのが非常に的を得ているような気がする。いや、正直言って「ハートでポン!」の正確な意味自体は不明ではある。しかし、馬にまたがった師が履いている靴を地面に落とすという、一見なにも意味がないようにも見える行為にすらそこに何がしかの修行的な意味や師からのメッセージをくみ取ることができ学びの姿勢を発動できるのが弟子というものだ。ギターの先生が言いたいことはよく判る気がするし、演奏が終わった後の僕の心をよく理解しての発言だったのではないかと思う。つまり、「演者の心の問題は技術的な問題に優先する」ということを言いたかったのだと思っている


演奏会が終わったばかりのいま、このメンタル面での課題は今後しばらく僕自身の課題になるだろう。もしかしたらステージに上がるのが「ぜんぜん緊張しない」「緊張するわけがない」「逆に、なんで緊張するわけ?」というカブちゃんにもその秘訣について教えを請うことになるのかも知れないと思っている