22年5月末に入台しすでに2か月が過ぎたある日。髪の毛がだいぶ伸びてきてしまったのでついに意を決して散髪することにした
QBハウスが台湾にもあっていつ見てもお客さんが入っている。価格は300元。5円で換算してもだいたい1,500円。日本とほとんど差がないと言ってもいいだろう。レート次第では日本より安くもなりそうだ。そんな手ごろ感が台湾でも支持されているのかも知れない
噂には聞いていたがここ台湾では男性がカットしようとするとまずデフォルトでバリカンが登場する。本当に登場するのだ。席に座るとバリカンを持った店員さんが「何ミリにする?」というようなことを聞いてくる。僕の髪形を見ればおよそバリカンなど必要としないだろうことは分かってくれるのではないか。そう思った僕ははじめ「もしかしたら別にバリバリ刈り上げる訳じゃなくて、カットの手段としてバリカンを使うのが普通だから長さを聞いてきているだけなのではないか」と、そう思った。甘いというか、コミュニケーション能力がないというべきか
街を歩く男性をあらためてよく見てみると多くの人がきっちりと刈り上げている。おおむね短髪の方が多いという事情もあるだろうが、日本で言えばモヒカンに近いくらいに刈り上げている人もいる。なるほど、暑くて湿度が高い土地柄を考慮すれば合理的な髪形だと思う
ただ僕は刈り上げたくない。むかし若いころ、散髪屋さんですっきり刈り上げてもらって帰宅したところ母親がかっかりした様子で「里芋みたいだね」と言ったことを今でも覚えている。頭の形が里芋みたいだなんて・・。僕は頭の形が変わっていて、カブちゃんに言わせると「遠くからでも後頭部を見れば分かる」らしいのだ。とにかく、短く刈り上げると頭の形がより分かりやすくなって僕にはあまり似合わない。そう信じている
我に返った僕はネットであらかじめ探しておいた”台湾のQBハウスで使える中国語”の画面を表示して店員さんに見せた。そんなこともあろうかと携帯だけは手に持って席に座っていたのだ
不要用電剪(ブーヤオヨンディエンジエン)
= バリカンは使わないで下さい
このフレーズの効果は素晴らしく、店員さんはすぐに「じゃあカットだけね」という風なことを言ってくれてハサミでカットを始めてくれたのだった
”自分の髪形を見ればバリカンなど不要だということを相手が分かってくれるはずだ”という甘い考えは捨てた方が良いんだな、はっきりと伝えた方がいいんだな、ということにあらためて気づいたのだった
カットの技術に関してはなかなか手際のいい店員さんだった。ガラス窓の外で様子を見ていたカブちゃんも「上手だった」と言っていた。なかなかよい美容師さんに当たったかも知れない
またしばらくしたらしっかりと例のフレーズを覚えたうえで再訪してみよう。発音がまずくて伝わらない可能性があるからやはり携帯は手放せないのだが
散髪を終えて気持ち良く街を歩いていたらふとカブちゃんが「何だかこっちの人ってアルさんと頭の形が似てる人多くない?」と言う。確かに言われてみれば僕が見ても何だか自分の頭に似たような人をたまに見かける。もしかしたら遺伝的にこの辺りの人たちと似たような血を引いているのかも知れない。そう思うと余計に土地の人たちに対し親近感がわいてくるというものだ