レストラン利用をしたことがある丸の内のイータリー(前の記事はこちらご参照下さい)
たまたまお店の前を通りかかってふと壁に目をやると、こんなポスターが
何気なく横目で見ながら一度通り過ぎてしまったのですが、やっぱり気になって戻ってよく見たらなんとヴィッラブッチのオーナーさんが来日する試飲セミナーがあるという告知です
ヴィッラブッチのワインと言えばミラノ旅行の時にワインショップで買って日本に持ち帰ったことがあります(こちらご参照下さい)
しかも参加費が1500円というリーズナブルさなので、これは行ってみるしかないな、と
しかし、開催が平日、しかも昼間の時間帯・・
とはいえ参加したい気持ちが強くて、、何とか都合をつけて(!)勇んで出かけてきました
本当はアンペリオ・ブッチさんが来日するはずだったのが体調不良で来られず、代わりにアンペリオさんの次男ロベルト・ブッチさんが来日して説明をしてくれました。ロベルトさんはワイナリーではブドウ栽培を手掛けられているそうです。背の高い、まじめな紳士でした
■マルケ州の概要
イタリアはアペニン山脈を中心に東と西に分かれていますが、マルケ州はちょうどトスカーナの東側にあり緯度がほとんど同じ位置にあります。そして、イタリアの東側はロシアからの冷たい風、西側はアフリカからの暖かい風が吹いてくるため、東は白ワインの銘醸地、西は赤ワインの銘醸地が集まっているのだそうです
これまでイタリアの勉強をしていて土地の特徴をそういった視点で考えたことがなかったから、新しい驚きでした。確かに、言われてみればそうかなという気もしますね
1500年代ルネッサンスもこのマルケ州に起こったそうで、ロッシーニのオペラも最初の上演がマルケ州だったそうです
ちなみに、資料もちゃんと用意してくれていました。土地の勉強をするにあたって、こういう目の細かい情報はとてもありがたいのですよね。カステッリ・ディ・イエージの場所がマルケ州の中のどこにあるかなんてなかなか覚えられないですが、こういう資料を見るとスッと頭に入るし記憶にも残りやすい
■ヴィッラブッチの概要
ヴィッラブッチでは所有する土地の中から土壌が3層になっているところを探してブドウを植えているそうです。3層とは、上から表土、次にライムストーン(石灰)、そして一番深いところが粘土質土壌
8月はブドウの成熟の季節なんだけど暑くて雨が少ないそうです。そんな中、ブドウは地中7~10mくらいの粘土層にまで根を伸ばし、そこから水分を吸い上げているそうです。粘土層に根を伸ばす途中にある表土は養分が豊富で、ライムストーンからは活きたミネラルが十分に含有されていてそこからも養分を吸い取る。これが大事みたい
■ワイン醸造
ヴィッラブッチでは古いワインの樹も大事にしていて、メンテナンスしながら長く栽培をしているようでした。従って樹齢が50~60年と長いものも栽培されていて、これほど樹齢の高いブドウから造られるワインはリゼルヴァとして仕込まれるそうです
搾汁は80%をワインにして、残りの20%はワイン以外の用途に使用されるそう
ブドウが採れる畑ごとにタンクで15~18日ほど発酵するそうで、酵母については添加をせずにブドウについている自然酵母を使って発酵させるそうでした
「よいワインはよいブドウから」「よいブドウはよい土壌から」という哲学でワイン造りをしているそうで、土地の力を大事にしつつビオ栽培の自然な造りを心がけているそうです
この土地に長い歴史をもつヴィッラブッチなので、土地を知り尽くし、どのようによいブドウを育てていくかということがとても大事なんだそう
質問アワーで「ブドウの栽培で難しいところ、心がけていることは何ですか?」という質問をさせて頂いたのですが、やはり農薬を使用せず自然な栽培をしているので健康なブドウを育てるために頻繁に畑に出て様子を伺うというような、とにかく手間暇をかけた栽培がもっとも苦労される部分とのことでした
醸造したワインは古いスラヴォニア産(クロアチア東部)のワイン樽でゆっくりと空気に触れさせながら、クラシコは1年、リゼルヴァは1年半ほど熟成させる
他のワイナリーでは3カ月ほどの熟成で済ませ展示会への出品に間に合うのに、ヴィッラブッチではよいワインを作るために長い樽熟成を心がけているためあまり展示会への出品はできていないそうです。それだけワイン造りにこだわりがあるということですよね
続いてテイスティングに移ります
◇"BUCCI" Verdicchio Classico dei Castelli di Jesi 2016(”ブッチ” ヴェルディッキオ・クラッシコ・デイ・カステッリ・ディ・イエージ)
輝きのあるイエロー
フルーティーな香り、ハチミツのパレット
オイリーでコクもあり、滑らかに味わいが伸びる
◇"VILLA BUCCI" Riserva di Verdicchio 2014(”ヴィッラブッチ” リゼルヴァ・デイ・ヴェルディッキオ)
”ブッチ”との比較をしてみると、まず共通するのはフレッシュな香り
アタックは”ブッチ”に比べてより柔らかく繊細な印象なのは、もしかしたらロベルトさんが言うように少し液体の温度が低すぎたせいかも知れません(グラスが曇っていますね)
軽く苦味も感じもあり、より立体的で複雑な印象を受けます
◆"TENUTA PONGELLI" Rosso Piceno 2014(”テヌータ・ポンジェッリ” ロッソ・ピチェーノ)
土っぽく、また鉄のような香りも感じられる
ミネラル感がありスムースなタンニンが心地よい
程よい酸も感じられとてもバランスが良いワイン
このセミナーの前に日本を代表するソムリエを交えた試飲会に行ってこられたそうなのですが、この赤ワインは魚にも合わせやすいという評価だったそうです
マルケ州では魚介を使った料理も味わいがしっかりとしたものが多いそうで、スープなど味の濃いものにもこの赤ワインは合わせやすいとのこと
8日間のマセラシオン
ヴィッラブッチでは、あたかも白ワインを仕込むかのように赤ワインを作っているそうです
◆"VILLA BUCCI" Rosso Piceno 2013(”ヴィッラ・ブッチ” ロッソ・ピチェーノ)
”テヌータ・ポンジェッリ”に比べるとよりボリューム感がある
モンテプルチアーノが多いせいか、果実味も感じられる
安い参加料で赤白4種のワインのテイスティングができ、これがもっとも大事なことですが生産者が直接ワイナリーの説明をしてくれるという大変貴重な機会を与えてくれる
イタリアワインのDOCの中でもとりわけ発音のしづらい”ヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエージ”。だいぶ理解が深まったように思います
ちなみにこの発音しづらい名前、何か意味があるのかどうか、その意味するところも尋ねてみたところ、翻訳の方から解説をしてくれました
”カステッリ”とはお城の複数形、ディは英語のof、”イエージ”は土地の名前
つまり、「イエージという場所にあるお城のヴェルディッキオ」というような意味になりますね
また、通常はお城の周りに街が広がるのが普通なのに、ここではお城の城壁の中に街があるそうで、ヴィッラブッチの土地も掘ると遺跡が出てきたりするみたい。歴史を感じますよね
さらにはこの”イエージ”ですが、スペルが”Jesi"です。この頭の”J(ジェイ)”がくるのが特徴的なんだそうで、通常だと発音的には”i(アイ)”が来るのが普通なんだそうです。”iesi”ということですよね。”J”がくる理由としてはイエスキリストと関係があるんじゃないか、とか、ローマが近いせいなんじゃないか、とか、いろいろ話が出ましたが当のロベルト・ブッチさんに聞いても「よく判らない」と・・
5月にはまた別のイタリアの生産者がやってくるイベントがあるそうです
もしまた時間が取れれば出かけてみたいなと、そう思うイータリーのイベントでした
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