アルさんのつまみ食い4

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蝦夷地へ(前編) ~札幌の酒屋を巡る~


ここ数年は毎年5月に仕事の関係で札幌を訪問する機会がある

せっかくの機会だし、北海道の現状を確認しようと貪欲に時間を消費しようと思うわけです。週末を利用しての出張に今回はプラス月曜日に休暇をつけて延べ3日間を確保。土日は札幌市内のいくつかの酒販店やお店を、そして月曜日はレンタカーを借りて岩見沢方面のワイナリーを見学して来ようと思うに至ります


まずは前半の土日、札幌市内のいくつかの店巡りのことを記しておこうと思います




バルコ札幌


北海道の古くからのワイン産地というと十勝地方の「十勝ワイン」、小樽に本社を構える”おたるワイン”の「北海道ワイン」、そして「ふらのワイナリー」などが思い浮かびます。最近では岩見沢を中心とした空知地方、札幌から向かうと小樽のさらに奥にある余市、あるいは「はこだてわいん」「農楽蔵」などがある函館あたりにワイナリーが集中しているようです


今回は岩見沢方面に行くことを目的にして色々とワイナリーを調べていたところ、ナカザワヴィンヤードの「クリサワブラン」というワインがとても評判がよさそうだということが分かりました。ホーム―ページなどを調べてみると生産本数も少なく入手が難しそうで、しかし札幌市内のバルコ札幌だけは常にグラスでクリサワブランが飲めるらしいことも分かりました

ということでさっそく訪れたのがこのお店


店名:BARCOM Sapporo/バルコ札幌
住所:札幌市中央区北2条西2丁目15 STV北2条ビル1階南側
電話:011-211-1954


目指すワインがそれしかないので、お店の方に頼んでさっそく頂きました


軽く濁りのあるグリーンがかったゴールドイエロー。ハーブに白い花の蜜、それに柑橘類のトーンで華やかさがある。輪郭はソフトで柔らかなテクスチャーで、北海道ワインというとシャープでさっぱりとした印象だがそれらに比べると厚みがある。そして軽い苦味が立体的な印象を与えています

店主によれば「ゲヴュルツトラミネールのブレンド比率が高いだろう」とのこと。なるほど、この香りとボリューム感はゲヴュルツですね。北海道でゲヴュルツという印象はほとんどなかったのですが、ライトな印象が多かった北海道ワインの中にあってクリサワブランのようなワインは新鮮な印象を受けました





ヤマショウ酒店


続いて訪れたのがこちらの酒屋


店名:ヤマショウ酒店
住所:北海道札幌市中央区南3条西3丁目 三信ビル1F
電話:011-210-3373


店に入るといくつかのお酒の試飲をやっていました。3種で500円、1種で200円ということで取りあえず1つだけ頂くことにしたのがこれ


二世古 特別純米「吟風」60%


蔵元:有限会社 ニ世古酒造
住所:北海道虻田郡倶知安町字旭47番地
原料米:吟風
精米歩合:60%
アルコール:16度
製造年月:H31年(2019年)2月


だいぶすっきりとした味わいだった記憶がありますが、小さなプラスチックのカップで飲んだこともあって十分に特徴を感じとるのが難しかった気がしまが・・

この酒屋の店員さんはとてもやる気があって、店に置いてあった雑誌に取り上げられた酒蔵の写真などを用いて道内のさまざまな酒蔵の説明をしてくれました。さらには頼んでいないお酒も無料で試飲させて頂いたり・・。酒屋さんなのに酒蔵で仕込を手伝ったりしているそうでアグレッシブな印象を受けました。信頼できる気がしたし、また札幌に出かけたら足を運んでみたいと思いました


※サービスで頂いたのがこの日高見でした





北海道産酒BAR かま田


「かま田」はヤマショウ酒店の店員さんが教えてくれたバー。「北海道の日本酒やワインを飲みたいのならこちらの店がオススメ」ということで紹介してもらいました。実は紹介された時は行くつもりがなく、同時期に大通り公園で開催されていた「ライラック祭り」でワインを飲もうと思っていました。しかし出かけてはみたもののめぼしいワインが見当たらず、あきらめました。でもワインは飲んでみたいな、ということで「かま田」に足を運んでみることに


店名:北海道産酒BAR かま田
住所:札幌市中央区南4条西4丁目MYプラザビル8階
電話:011-233-2321




カウンターの左端に着席。俳優の加藤晴彦とメンタリストのDaigoを8:2でブレンドたようなイケメンの若い店員さんが一人で店を守っていました。彼と少し話をして、さんざん悩んだ挙句ワインをグラスで1杯と日本酒の飲み比べを試してみようと決意


まずはこちらのワインを頂きました

オチガビワイナリー ツヴァイゲルトレーベ/OCCI GABI WINERY ZWEIGELTREBE 2017

ワイナリー:オチガビワイナリー

比較するのは「吟風」「彗星」「きたしずく」の3種類。この酒米が北海道産酒米の代表的な品種になるようです

写真の右のお酒からからいきます


純米生貯蔵 ヒトツメ 2018
酒蔵:日本清酒株式会社
原料米:吟風(新十津川産100%:新井隆之氏栽培米)
精米歩合:65%
アルコール:16度以上17度未満
杜氏:市沢智子
コメント:千歳鶴を手掛ける市沢智子杜氏の手によるお酒。フルーティでボリューム感があり、そしてざらりとした苦味が感じられる。この苦味の感じが吟風の特長になるそうです


純米酒 えぞ熊
酒蔵:高砂酒造株式会社
原料米:彗星(北海道産100%)
精米歩合:60%
日本酒度:+4
酸度:1.7
アルコール:16度以上17度未満
コメント:”えぞ熊”という武骨な名前を持つ日本酒ですが、味わいの方はきれいな酸につるりとした柔かさ、滑らかさが印象的。引っ掛かりがない飲みやすいお酒


特別純米酒 二世古
酒蔵:有限会社 二世古酒造
原料米:きたしずく(北海道産100%)
精米歩合:60%
アルコール:17.5度
杜氏:水口渉
コメント:フルーティだが一枚薄膜があるようなキシキシしたミネラル感。ざらりとした舌触り。穏やかな味わいだがじわっとしたうま味を感じる。ボリュームもある


帰りの千歳空港のショップで日本酒の試飲をさせてもらった時に販売員の方に教えてもらったところによると「吟風」は高タンパク米、そして「彗星」「きたしずく」は低タンパク米に分類されるそうです。高タンパク米か低タンパク米かはできあがる日本酒の良し悪しの問題というよりも米の特徴に過ぎないのだと思いますが、米の外層部に多く含まれるタンパク質は雑味にもつながるそうです。そのため酒造りをする時は米を磨いて外層部をそぎ落とす。有名な山田錦も低タンパク米なんだそうです


なおこちらのお酒は「吟風」を使ったお酒ですが、同じ酒米なら大体同じような味わいになるかというとそうでもなくて、作りによって味わいが変わってくるということを教えてくれるためサービスで提供してくれたものです


北の純米酒
酒蔵:金滴酒造株式会社
原料米:吟風主体
精米歩合:60%
アルコール:15度以上16度未満
コメント:香りをかいだ瞬間にむかし父親が正月に飲んでいた燗酒を思い出しました。糀の豊かな香りがあります。金滴酒造が手掛けるベーシックで伝統的な日本酒とのこと。輪郭がくっきりとした味わいでアルコール感がある。今日飲んだその他の日本酒と比べると味わいの方向感が全く別の方角を向いています


しばらくすると常連さんがやってきてバーテンさんと鹿児島出張の話なんかの会話が始まったので、しばらくしてから精算をし、店を後にしました




いずれのお店でも店員さんから様々なお話を聞かせて頂き、北海道のワインや日本酒に関する情報を仕入れることができました。彼らはみんなお酒が好きなのだと思うし、だからこちらもそのつもりで話をしていると「こういうのもあるよ」とサービスで試飲させてくれたりするのがありがたかった

翌日、北海道の最終日はレンタカーを借りて岩見沢方面へ向かいます