アルさんのつまみ食い4

旅と食とワインと・・・ずっと続けます

マクシヴァン @六本木



以前からずっと行ってみたかったソムリエ佐藤陽一さんが経営するマクシヴァン。日本トップクラスのソムリエが店を経営するのみならず自ら店に立ち接客してくれるということで、若干緊張しながらもお祝い事に利用してみようとカブちゃんと出かけてみることにしました






店舗は国立新美術館の程近く、途中で道に迷いながらも六本木駅から歩いて約10分ほどで到着




扉を開けて中に入るといままで写真や映像でしか見たことのなかった佐藤陽一さんご本人が出迎えてくれました。席は左手に道路に面した広めのスペース、そして右側には壁一面にリキュール類の瓶が並べられていて奥まったテーブル席が3~4組分ほど置いてある。すでに一組が左手の方に座っていたので僕たちは右奥の席を選択して着席。奥まっていて落ち着いた席です




「乾杯はどうしますか」ということで、普段はだいたいいつもビールなんだけど今日はさすがに泡ものを頂くことに。それで出てきたのがこちらのドゥラモット。ブドウ品種は3種入っているというご説明だったのでブランドブランではないのだろうと思います。シャンパーニュは買ってきてそのまま冷やしてグラスに注いでも泡がきれいにでないそうで、しばらくマクシヴァン2階にあるセラーで寝かせて様子を見ながら「もうそろそろいいかなー」というところで客にお出しするそうです。ちなみに日本ソムリエ協会でスパークリングワインのセミナーを持っているという佐藤さんによれば、このように泡が表面で繋がるのが良い注ぎ方なんだそうで、今日のワインも「これなら合格」と自ら太鼓判を押されていました・・笑。ドゥラモットは佐藤さんもお好きなシャンパーニュの銘柄とのことでした







ドゥラモットに続けて最初に頂いた白ワインがこちらのワイン。香りの印象からソービニヨンブラン、そしてまろやかで深い味わいがあり産地としてはサンセールが妥当ではと思ったのですが、まあ偶然だと思いますが、これが正解。マクシヴァンでは先にブラインドでグラスが出てきて後から種明かし的に銘柄を教えてくれるスタイル。これがワイン好きにはたまらない愉しさにつながっていると思います。他方でホームページに「ワインの森のガイド役」という記述があるように、ガイド役の佐藤さん次第では素人は簡単に弄ばれてしまい、まったく別の方向へ歩いて行ってしまって、ケガをして、そして自分の未熟さをも知ることになるのです(笑)

最初の白ワインが(たまたま)当たってしまったせいで気をよくしてしまった僕はこのあとまんまと佐藤さんの術中にはまっていきます・・





佐藤さんは音楽もお好きなようです。自らショップに行ってCDを購入したりもするし、またこの日店内に流れていた音楽はフランスのラジオ局の放送をリアルタイムでかけているそうです。喋りが少なくてひたすら音楽をかけているというのがいいみたい




次の白ワインがこれ。樽の効いた香り、バニラのようなニュアンス、そしてクリーミーなボリューム。ブルゴーニュじゃないか、というのがまず一番最初に頭に浮かんでくる。正解は南仏のブレンド。グルナッシュブラン、カリニャンブラン、グルナッシュグリ、そしてテレブーレといった品種が使用されているそうです。産地としてはベジエの北、モンペリエの北西に位置する。いわゆるラングドック地方ということになるのだと思いますが、こんな味わいのワインがこの地方で作られているとは驚きです。これは当てられないわ・・






ここから赤ワインになります。色合い、香り、そして味わいの印象からピノノワールと想定。フランスレストランという状況から普通に考えるとブルゴーニュ。ただブルゴーニュのどこなのかというところまでは全く分かりません。正解はモンテリー。ヴィンテージは2007年ですがまだ熟成感は出ておらずフレッシュな印象もある







メインは仔羊のロースト。これに合わせて大ぶりのグラスで提供されたのがこの赤ワイン。仔羊、ボルドーグラス、そして濃い色合い。先入観とは恐ろしいもので、馴染みのあるそのヒネたような熟成香を感じながらも、すでにボルドーのどのあたりの産地なのかを頭の中で探し始めてしまっている。カベルネよりもマイルドでオリーブの様な香りからメルロと想定、右岸のポムロール辺りではないかとあたりをつける。しかし正解はトロのテンプラニーリョ。「グラスに向かってお前はボルドーだよ~といって暗示をかけるとこのワインはボルドーになちゃうかも」というくらいなので少しは似ているところがあるのかも知れませんが、しかしテンプラニーリョだったかぁ。リオハに通じる酸化のニュアンスを素直に拾っていればテンプラニーリョが出てきたかも知れないが、しかしそれであっても産地が全然違いますね






そんな訳で「ワインの森のガイド役」である佐藤さんの手の上で簡単に転がされてしまってますますワインが分からなくなってしまったような部分がなきにしもあらずですが、、しかし先入観に染まってそこに留まることでは見えてこない世界があるんだということを”森のガイド役”に見せてもらったような気もします




最後に出てきたこのワイン、ドイツの遅摘みかと思ったら「ピレネー山脈寄り」と言われて最後も撃沈。ジュランソンの甘口でした









楽しい時間はあっという間に過ぎてしまい、持参した著書「ソムリエの流儀」にサインを頂戴し、精算をして店を後にすることにしました。高名なソムリエが自らサーブしブラインドで飲んで後で種明かし、という趣向のお店はあまり他にないような気がするし、料理やワインがおいしいというだけではない驚きと愉しさが味わえます。またしばらくしてみたらまた来てみたいです




店名:Maxivin
住所:東京都港区六本木7-21-22 セイコー六本木ビル1F
電話:03-5775-1073
営業時間:18:00~24:00
定休日:日曜日