アルさんのつまみ食い4

旅と食とワインと・・・ずっと続けます

ふくの湯(文京区)


2019年の夏は銭湯巡りの夏だった

その中でもこの千駄木にある銭湯「ふくの湯」はもっとも銭湯らしい銭湯だったような気がする




ふくの湯に行く前に、上野のカラオケで歌の練習をするというカブちゃんにいそいそとついていき久しぶりに歌を歌ってみたのだが、あらためて歌える歌の少なさに気づき愕然としてしまった

曲目を選ぶにあたって基本的には日本語で歌われる日本の歌を選ぶことになる訳なんだけど、日常的に通勤の行き帰りでウォークマンで聴いているのは最近はジャズばかりで日本の歌をあまり聴くことがない。あらためてウォークマンにリストアップされている日本のアーティストを見てみると、2019年夏の段階では”あいうえお順”でいくと宇多田ヒカルキリンジくるりサカナクション相対性理論竹内まりや東京事変山下達郎、レキシといったところでまるで脈絡がない上に特に今の日本のヒットチャートを騒がすような、例えば米津玄師であったりあいみょんであったりOfficial髭男dismであったりKing Gnuであったり日向坂46であったりということは、まずない。”まったく同時代性がない”というところが僕のウォークマンに入っている音楽リストの特徴と言えばそう言えなくもないような気もする。「ああ、あの頃この曲流行ったよねー」というように誰かと思い出を共有することがこれまでの人生経験上はほとんどないような気がするのは、あるいはこういうところに原因があるのではないかと思っている。つまり”常に日本のその時代の最先端をいっていない”ということですね

そんな訳で、カラオケで入れた曲目というとスピッツの「夏の魔物」(1991年)の他にはキリンジのベスト盤「SINGLES BEST Archives 」(2004年)から数曲を選んだ程度でありながら、実は歌うのも初めてだったりして、イントロが鳴り始めてからやおら「ああ、この曲ね。聴いたことある」くらいな調子で歌い始めるものだからほとんどがグダグダになってしまう




銭湯の話だった




カラオケの後は上野のベローチェでコーヒー飲んで、その後に都バス「上58」に乗り(最近よくバスに乗るなあ)千駄木の「ふくの湯」に向かった。”ふくの湯”はいわゆる銭湯的なイメージを地でいくような銭湯だったと思う。入り口を入るとすぐに番台があり、靴を脱いでチケット販売機で入湯料を2人分支払って番頭さんにチケットを渡し、男女別の入り口から入ると脱衣所があって、その先にはふろ場がある訳なんだけど、シンプルに洗い場と湯船しかない。サウナも炭酸泉も水風呂も露天風呂もない。洗い場と湯船。とてもシンプルだ

サウナがないことは分かっていたのでカブちゃんとは「1時間後に待ち合わせね」と約束したものの、男女別の入り口の暖簾をくぐってしまってからあまりに純銭湯的な銭湯であることに気づいてしまい「これで1時間は無理だわ」と思いつつ「カブちゃんも同じように感じて30分くらいで出てきてくれるといいな・・」と期待しながらなんとか40分くらい頑張って時間をつぶして男湯の暖簾をくぐって出てきたものの、カブちゃんはしっかり1時間ほど経過してからホクホクしながら湯から上がってきた



僕たちは8月の夏休みの終盤に訪れたが、圧倒的にシニアなお客さんが多くて常連さんばかりという印象だった。純粋に、あるいは日常生活の一部として、お風呂に入ってゆく方が多かったように思う。銭湯で手足を延ばしてゆっくりしていく、とか、風呂上がりのビールを楽しみにしている(飲み物は販売していました)、とか、誰かと一緒に来て風呂を楽しむ、とか、そういうエンターテイメント的な感じが全くなかった。そういう意味では「家の延長に”ふくの湯”ある」というような非常に生活に密着している銭湯という感じがしたし実際そういう使い方をされている方が多かったような気がする

けっして大きな銭湯ではないけれど、湯船の縁の部分が木製だったり壁画がとても趣きがあったりして他の銭湯にはない質感や魅力もあるから来るだけでも価値がある銭湯だったように思う



ふくの湯
所在地 : 文京区千駄木5-41-5
TEL : 03-3823-0371




ふくの湯のあとは歩いて本郷三丁目まで移動してお気に入りのスペインバル「エル・クルセ」で食事をして帰路につく。エル・クルセは相変わらずのおいしさで、週末の土曜日にもかかわらずお客さんで満席




ふくの湯から本郷までは西片と千駄木、あるいは西片と弥生の間を約30分ほど歩いてみたが”夏目漱石の旧居跡”や複数のお寺も点在していてなかなかよい雰囲気。江戸っぽい感じがする趣のある道で楽しかった



EL CRUSE
東京都文京区本郷4-2-2 ムサシビル 1F
050-5589-8754