アルさんのつまみ食い4

旅と食とワインと・・・ずっと続けます

2019年 アンダルシア旅行⑥ パリ


旅の最後の目的地、パリ

セビーリャ空港からオルリー空港へ飛ぶ。オルリー空港を使ったのは久しぶりだ。シャルルドゴール空港からパリ市内に移動するのと同じように、オルリー空港からはエールフランスが運航する空港シャトル「ル・ビュス・ディレクト(Le Bus Direct)」に乗車。モンパルナスに到着するまでに約20分。そこからエッフェル塔セーヌ川を走り抜けて凱旋門に到着する。シャルルドゴール空港から向かうライン2(Line2)に比べると、このオルリー空港と市内を結ぶライン1(Line1)の路線は観光名所を経由していくので乗っているだけでも楽しかった

いつも通りアクセスを考え凱旋門近くのホテルを予約していたので、バスを降りてすぐにチェックインを済ませる。昼時だったこともあり、前回パリに来た時に気に入ったホテル近くにある中華料理店で食事をすることにした。中華系のご夫婦と思しき方が経営している店だが、穏やかでとても親切な女性が注文を受けてくれる。一方の旦那さんらしき男性はしずかに後片付けをしたり水を運んだりしている。何とも穏やかな時間が流れていて安心する


お惣菜のように店頭のショーケース入っているものから好みのものを選び、これを大・中・小の器を選ぶことで食べる量を決める。どれを食べても絶妙に抑制が効いた優しい味付けが日本人の口にもよく合う。場所を考えると値段も十分に安く、一人で食事を取りに来ているお客さんも何人かいた。この辺りのレストランに入ったら20ユーロくらい取られるだろうから、日常的に食事をする必要がある人にとっても便利なレストランなのだろう。おまけに、持ち帰りもできるという便利さだ



パリでは特段の予定は入れていない。ほとんどの時間を無目的な街歩きに費やして、あとはいくつかの買い物をするだけだ。先に用事を済ませようとエトワール駅から地下鉄1号線に乗りコンコルド広場で下車、最近は毎回カブちゃんがパリにくるとカバンを買う店に行く。いったんホテルに帰り戦利品を部屋に置き、再び街に出る。今回は何となく左岸を歩いてみたい気分になり、再び1号線でオテル・ド・ヴィレまで行き、シテ島方向へ歩いて行く

パリ市庁舎がこの派手さ。これもプロジェクションマッピングなのだろうか、紫のライトが煌々と照らされていて逆に何だか味気ない気もした


ノートルダム大聖堂はまだ立ち入り禁止のように仕切りが設けられていて近づくことができない。いち早い復旧を期待したい



カルチェラタンからサンジェルマン大通りを歩いて行くと、これまたカブちゃんがいつも買い物をする化粧品屋が近づいてきた。もともと翌日朝に訪問する予定だったが、いまのうちに済ませてしまおうということで立ち寄る。店内はお客さんで混んでいるのと、万引き対策だろうが出入りの手荷物検査もうるさいので、僕は外で待つことにした

せいぜい20分、長くて30分くらいかなと見積もったつもりが実際にカブちゃんが買い物に費やした時間は45分ほどだった。と、いうようなことを書くと度量の狭い男と思われるかもしれない。いや、もともと楽しみにしていた買い物だからかまわないのだが、別に。ぜんぜん


晩ごはんはお気に入りのレオンに向かう。パリではシャンゼリゼ通りの店でしか食べたことがなかったのだが、ここサンジェルマンにもあったので入ってみることにした。ビールとムール貝を頂く。貝のダシが効いたスープにまみれたムール貝がうまい。肉ばかりでは重すぎて疲れてしまうが、貝は軽い食材だから食べやすい


あまり量が食べられないので1つをカブちゃんとシェアして頂いたがそれでもたっぷりの量がある。一人一品頼まないと嫌な顔をするような店員さんではなかったというのはシャンゼリゼ店でも一緒だったが、こういうのは気が楽でいい。そしてここサンジェルマン店のレオンは華やかな場所にあるシャンゼリゼ店よりも雰囲気が落ち着いていてゆっくり食事することができた


カルチェラタンには映画館や本屋、さらには中古CD屋のようなものがいくつかあった。ソルボンヌ大学もあり学生街と言われるだけにこういう店があるのだろうが、いままでパリに来てまるでブックオフのような店を見たことがなかったので新鮮だった




パリ2日目は、再びカルチェラタン方面を散策することにした。リキュールショップもいくつか見かけたが、棚の目立つ位置にジャパニーズウイスキーを置いている店がいくつもあった。サントリーの山崎、白州、知多。あるいはニッカの宮城狭やキリンの富士山麓など。確かにジャパニーズの人気が出ているらしいことがよく判る


この日は運休した地下鉄の路線が多い。動いているものというとほぼ1号線くらいだった。駅で緑色のベストを着た案内係らしき男性の若者がいたので理由を聞いてみると「ストライキが行われているんだ。もう一ヶ月くらいね」と。千代田線だけを残し、銀座線も半蔵門線丸ノ内線南北線も全てストで運休している東京メトロが想像できるだろうか?日本で考えられないことのように思えたが、しかし労働者の権利を主張することが普通に行われていて、それを特段とがめることなく市民も認めているようにみえる(内心でどう思っているかはわからないが)国があるということもよく分かるし、むしろその方が社会として成熟しているということもあるのかも知れない

そんなこともあり、左岸から地下鉄1号線が走る右岸まで移動するためにパリで初めてバスに乗った


地下鉄と共通で乗降が自由な1日券を買っていたのでこれで乗ることができるにはできたのだが、このバスが満員のぎゅうぎゅう詰めで東京の朝の通勤ラッシュのようなありさまだった。チケットを機械に通そうにも機械が見えないし、そもそもチケットを機械に通す仕組みなのかどうかもよく判らないが、とにかく入り口近くに乗り込み揺られること2駅で降りる。バスに乗りながら結局チケットを使う、あるいは提示する場面がなかったが、まあ、仕方ない


パリ最後の晩は事前に予約していたビストロに向かう。場所は地下鉄1号線のルーヴル・リヴォリで下車して歩いてすぐ近く。19時半、ほぼ予約した時間通りに入店するとすでにアジア系の一組が入っていただけだが、僕たちが案内されたのは通りに面した一番端の席。木でできた硬い椅子。他にソファー席で照明がキラキラあたっている席も空いているにもかかわらず、だ。いろんな理由が想像できるのだが、これに何だかがっかりしてしまったことが徹頭徹尾このビストロの印象を決定づけてしまった

一応ワインのことだけは書いておこう。ワインは基本ボトルでの注文だが、ハーフボトルを選ぼうとすると選択肢は少なくなる。リュシアン・クロシェのサンセール、ルシェーヌ・マルシャン(Lucien Chrochet Le Chene Marchant 2016)を頂くことにした



これでパリの日程はほぼすべておしまい


あとは帰国するだけだが、翌朝の旅行最後の朝はホテル近くに見つけたお気に入りのパン屋で朝ごはんを食べることにし、7時の開店前に向かうとまだ店は閉まっていた。ガラス窓をよく見ると2014年のバゲットコンクールでグランプリを取ったことが分かったのだが、通りで、おいしい訳だ


7時きっかりに店の扉が開くと(こういうところはフランス人はかなりしっかりしている印象)すぐにお客さんがやってくる。おそらく朝食用に買い求めるホテル関係者もいるのではないだろうか。開店直後に殺到したお客さん達がいなくなると、少しの間だけ店にはゆっくりした時間が流れていた


焼き立てのバゲットはやたらおいしい。たった1ユーロでこんなにうまいバゲットが毎日食べられるパリジャンが羨ましく思う瞬間だ