アルさんのつまみ食い4

旅と食とワインと・・・ずっと続けます

レゼールデカー @茗荷谷


誕生日の月にカブちゃんが連れて行ってくれた茗荷谷のフレンチレストラン。2016年秋ごろにテレビ東京アド街ック天国」でも取り上げられていていつかは行ってみたいと思っていた店でもある

この日の東京は桜が咲いているこの季節には珍しく雪が降り、そして積もった




最初に白ワインをグラスで頂いた。一つはアルザスリースリング「Domaine Zind Humbrecht Riesling/ドメーヌ・ツィント・フンブレヒト」(写真右)。そしてニュージーランドのソービニヨン・ブラン「Vandal Gonzo Resistance/ヴァンダル ゴンゾー レジスタンス」




このニュージーランドのソービニヨン・ブランは醸造過程でオイスター(カキ)を殻のついたまま丸ごと漬けこんでいるんだそうだ。そんな作り方をするワインは初めて聞いたが、飲んでみても特にカキの味がするという訳でもない。ソービニヨン・ブランとはいえその特徴的な青い草のようなニュアンスは控えめで、ソフトながら滋味深い味わいが感じられた




ところでこのレゼールデカーはアピシウス料理長を務めた小林定氏と、同じくアピシウスで経験を積んだ渋谷恭平氏の2名で経営をしているようだ。店名の”Les Ailes des K(レゼールデカー)”とはフランス語で”Kの翼”という意味。おそらく小林氏のイニシャルから来ているのだろう

現在は一人で切り盛りしているらしいシェフの渋谷氏と少し話をさせて頂いたところによると出身は埼玉だがご両親の片方が僕と同じ群馬出身なんだそうだ。急に親しみが湧いてしまった。そして料理に使われている野菜は埼玉に住むおばあちゃんに種を送って育ててもらい、それを店に送ってもらっているらしい。素性のはっきりした野菜は安心だし味もおいしかった




僕は2杯目に「Au Bon Climat Chardonnay Nuit-Blanches Santa Maria Valley/オー・ボン・クリマ 無二」のシャルドネを頂いた。カリフォルニアらしいボリューム感と樽のニュアンスに溢れているが思いのほか暑苦しくもなく、冷涼な雰囲気を持っていた




野菜を多めに使用された料理の数々はヘルシーな印象だ。あまり料理の詳しいことはよく判らないのだが、フレンチとはいえオイルやバターを多用していないのでライトであり、食材の味を活かしている。ワインともよく相乗する




ほほ肉のワイン煮込みは肉質はしっかりとしているがホロホロと柔らかい。牛肉を食べるなら赤ワイン煮込みかビーフシチューが一番いいと思っている僕にとっては大変に好みな一皿だったと思う。ここでも野菜がともに提供されており、そうすることで季節感もあるし食味や食感も複雑さを増すから食べていても愉しさがある




デザート(フランス語のデセール)は柑橘類の日向夏(ヒュウガナツ)を使用したもの。日向夏を食べたのはこれが初めてだったが、内果皮にクセがなくて柔らかく、また少しの甘みを含んでいるため一緒に頂くのがよいそうだ。日向夏は街で見つけたらまた買って食べてみたいおいしさだった





この日はランチで訪問したのだが、緊急事態宣言が出される前とはいえお客さんと言えば僕たちの他に一組が来店していただけだった。やや寂しい感じもするが、毎年この桜の咲く季節には常連のお客さんが播磨坂の桜を見るのに合わせ予約をしてくれたりしていたそうである。今年はそういったお客さんも当てにできないようだから、店の経営にとっては本当に厳しい年になってしまったと思う

それにしても渋谷シェフは若い(と思う)のに仕事に対する姿勢が熱心だ。一通り料理をを出し終えても手を休めることなく仕込みを続けている。何だかおいしそうなロール状の塊をラップで包んでいたので「それは何ですか?」と尋ねると、スペインから取り寄せた鳥一羽を丸ごと開いて、伸ばし、半分熱を入れ加工した料理なんだそうで「来週のランチに出そうかと思って」ということなんである。なるほど、それもまたおいしそうな料理だなと思うとともに、手頃な価格でこれだけのレベルの料理が週替わりで楽しめるとなればまた足を運んでみたいと思った(さすがに週ごとにやって来るという訳にはいかないが)

季節が変わればまた埼玉から運ばれてくる野菜も変わっていくことだろう。季節ごとの食材の違いが楽しめるというのもまたレストランで食べる愉しさの一つでもある




Les Ailes des K
東京都文京区小石川5-4-9 B1
03-6912-1162



ちなみにテレビ東京でレゼールデカーが紹介されたのは2016年10月の放送で、いまでもテレ東のホームページを調べるとちゃんとレゼールデカーのことが載っている。ご参考までに


帰り道、近所の子供たちが小さな雪だるまを作っていた。可愛らしかったので写真に収めてみた。しかしこんな季節に雪が降るとはね・・