アルさんのつまみ食い4

旅と食とワインと・・・ずっと続けます

お菓子調進所 一幸庵 @小石川


4月から完全な在宅勤務スタイルに突入している

元来小心者なのでリスクを過小評価せずきちんと恐れを抱きつつハードボイルドな在宅生活を継続している。通勤定期券がもったいない気もするが、すでに1ヶ月にわたり地下鉄にも電車にもバスにも乗っていない。出かけるのは運動不足解消のための朝昼晩の散歩であり、近所への食材の買い出しくらいである。行動範囲はせいぜい半経500m程度ではないか。もしかしたら近所のノラ猫の行動範囲よりも狭いくらいかも知れない


人により生活環境や家族構成は異なるし、会社の方針やインフラ環境あるいは職種によっても状況が違うので何がいいとかこれは悪いとかひとくくりに言うことはできないが、少なくとも個人としては在宅はやってみれば「意外とできてしまうものだな」というのが正直な感想だ。在宅でそれほど仕事の効率を落としているということもない、というか移動時間や同僚との雑談(や無駄話・・)もなくなり、そして無駄な時間がなくなった結果むしろ業務効率が向上しているとすら言えるような気もしている。会社にいるよりも時間に追われているという実感がある。すごく疲れる


在宅勤務は、いままでは物理的に職場に存在することによる「存在感」とか「ムードメーカー」といった俗人的であるがそれ自体が仕事量にはあまり(というかほとんど)関係がない要素をそぎ落とす。完全にネットワーク上における音声(会議における発言等)であったりテキスト(メッセージやコメントの発信等)であったり資料(何かを意思決定するためのマテリアル等)であったり、そうした具体的なアウトプットの有り無しがはっきりと見えやすくなってしまっているような気がする

この点は危険な気もしていて、在宅前から特段のアウトプットが少なかったがしかし物理的に職場に存在することで「何となく仕事している」ように見えていた人達にとっては在宅によりサイレント(話さない、書かない、資料作らない等)な状態におかれることで評価ポイントが見出しづらくなると思う。つまり、在宅が会社にとっていいように使われてしまい場合によってはリストラクチャリングにあう危険性を高めている可能性もあるのではないか。もっとも、それは危険であるというよりもむしろ会社にとっても本人にとっても好ましい変化をもたらすきっかけになると言えるケースもあるとは思うが




ずいぶんと前置きが長くなってしまったが、要は仕事もプライベートもその行動が住居から近い場所に限定されてくると今まで以上に近所に目が向くし、行動パターンの飽きを克服するためにいつもと違う道を歩いてみると新しい発見があったりするものだ、ということだ

そして同じような行動をしていると季節の移り変わりに敏感になる、というよりいやがおうにも気づかされる。桜は散り、新緑の若葉が日に日に成長するのが分かるしいよいよ見目麗しくなる。家の前のイチョウもだんだん緑が多くなってきた。晴れた天気の日も多くなってきて、気分もいい


そんな訳で久しぶりに一幸庵でお菓子でも買ってみようかという気分にもなり、「一幸庵と言えばこれでしょ」という代名詞的な「わらび餅」を食べてみた

そういう話である




こし餡を薄く伸ばしたわらび餅で包んで、そこにきな粉をまぶしてある。本物のわらび餅だから黒っぽい色をしている(スーパーで売っている半透明の”わらび餅”はわらび餅ではない。あれはたぶん加工でんぷんを練ったものだ)

こし餡は繊細な甘さで口どけ滑らかであり、餡とわらび餅との境界線は見ても食べても分別がつかないくらいに一体化している。そしてとても柔らかい。ほとんど抵抗なく菓子楊枝を受け入れ、そのまま菓子楊枝はお皿に到達してしまう。どうしたらこんな繊細なお菓子が作れるのか不思議だ


高価な和菓子だとは思うけれど、たまに食べるくらいではバチも当たらないだろう



お菓子調進所 一幸庵
東京都文京区小石川5-3-15
03-5684-6591