アルさんのつまみ食い4

旅と食とワインと・・・ずっと続けます

BookRoad 〜葡蔵人〜 ワイナリー


関東で梅雨が明けた8月1日の土曜日の午後。秋葉原から御徒町に向けてブラブラと歩いていたら、道の角のところに立ち飲みらしき人達がいるのを見つけた。店舗の50mほど手前でその存在に気づいたが、遠目に見てもなんだか雰囲気が良さそうだった




近づいてみると建物の壁に「WINERY」の文字があって驚いてしまった。たしかに店舗の中をのぞくと醸造設備があるのが分かる。お客さんが軒先で飲んでいるのは試飲用のワインで、台東区にあるまさにこの場所で作られている産直ワインのようなのだ

都内にあるワイナリーはまだ数件に限られていたはずで、思い着く限りでは清澄白河の「フジマル醸造所」と門前仲町の「深川ワイナリー」がある。それ以外にも練馬区大泉学園に「東京ワイナリー」があるらしいが、台東区にワイナリーがあるという情報は全く持ちあわせていなかった




この日はたまたま「月一バル」というイベントが行われていて、その場にたまたま散歩しながら出くわしたという訳だ。偶然とはいえなんだか大発見をしてしまったような気がした。女性が一人で店番をしており、聞けば2017年にオープンとのこと。まだ3年くらいしか経っていない

当然のことながらブドウをこの辺りで栽培しているはずもなく、長野や山梨の契約栽培農家からの買い付けをしているそうだ。後で調べたところでは茨城にも自社農園を抱えているらしい。そしてこちらの女性が当ワイナリーの醸造家であることも分かった。自らの運転でワイナリーからブドウを運んできて仕込みまで行っているということだが、相当な体力のいる仕事だと思う。店舗でお会いした時は随分と華奢にも見えたので、ワイナリーの発見と共にそれがまた新たな驚きだった




僕の目の色もすでに変わっていたのだろう。きっとそれに気づいたカブちゃんが「飲んでみる?」と言ってくれたのに便乗し、お勧めを聞いて2種のスパークリングを頂いてみた。一つはベリーA(右)、そしてもう一つはソービニヨン・ブラン。いずれも安曇野のブドウを使用しているようだ




どちらも品種の香りが感じ取れる。日本ではまだ珍しい気がするのだが、ソービニヨン・ブランからも特徴的な青さと苦さを感じさせる香りがする。穏やかで柔らかく口馴染みのよい質感。ベリーAもソービニヨンもいずれもアルコールは11.5%。だいぶ低めだ。そのせいもあり大変に飲みやすい。多少は補糖もしているのではないかと思うが、自然な味わいのする素直なワインという印象だった




「ブックロード」というネーミングも印象的だ。”本”と何か関係があるのかとも思ったが、”葡蔵人”を「ブックロード」という音感で読ませているらしいことは後で気づいた。葡萄(ブドウ)の最初の”ブ”、そして蔵人は俳優の真木蔵人の”クロード”と同じだろう。「蔵」は酒蔵にも通じる。蔵で働く人で”蔵人”。これを繋げて「葡蔵人/ブックロード」。なかなか面白いネーミングだ

ワインのラベルもなかなかユニーク。カブちゃんはラベルデザインが記憶に残っていたらしく、このワインを本郷のワインショップ「Luvish(ラビッシュ)」でも見かけたことがあると言っている。確かにラビッシュにも商品を置いているとのことだった




今年の関東では梅雨が長引き7月いっぱいまで続いた。8月に入った初日にようやく梅雨が明けたが、甲信地方でのブドウの作柄への影響はどうだろうか。おそらく収穫は9月頃になるだろうから、新酒ができた頃にまたブックロードを再訪してみるのも面白いかも知れない。本当はその前工程、すなわち収穫から仕込みの様子も知りたいのはやまやまなのだが

新しいワイナリーの発見がまた一つ将来に向け新しい楽しみをもたらしてくれた、そんな梅雨明けの一日目になった



BookRoad 〜葡蔵人〜 ワイナリー
東京都台東区台東3-40-2