アルさんのつまみ食い4

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第4回JSAブラインドテイスティングコンテスト (後編)


第4回ブラインドテイスティングコンテストの結果が9/18(金)に発表された

コンテスト会場のアナウンスでは出題品種等の情報を開示しないと説明されたと記憶していたのだが、JSAのホームページを見たら(15時頃に公開すると聞いていたつもりが実際には17時頃に公開された)予選通過者の氏名と共に出題品種等の情報も公開されていた。これには一安心だった。自分がテイスティングした品種が何だったのか分からないのでは気持ちがモヤモヤしたままになってしまう


早速だが出題品種を見てみたいと思う。先日掲載した過去3回の品種と共に並べてみると以下の通りになる(グレーに色塗りしたところが第4回の出題品種)




お気づきかも知れないが見事なまでに過去3回分で出題された品種が登場していない。過去出題の品種との重複がないのだ。これはJSAサイドで意図的にチョイスしているとしか考えられないと思う。それからついに出た、アシルティコ。ギリシャはそろそろ出そうな気はしていたのだが満を持して第4回で初登場だ

国で言えばギリシャに加えドイツが今回初登場している。伝統国からの出題が多いとはいえ毎回最低1品種はニューワールドから出題されている傾向には注目したい


それと今回の予選通過者を確認してみたところ、驚くべきことに12名の通過者のうち約半数の5名が過去のコンテストで決勝に進んでいることが分かった。そのうち過去の成績が優勝、2位、3位の方がそれぞれ1名ずつ混じっている。よく考えてみるとこれは恐るべきことだろうと思う。ブラインドテイスティングのレベルがかなり高い水準で保たれているということだと思うし、これにはもう感服するしかない

ちなみに今回は365名(※)の応募があり、そのうち52名が欠席したようだ。実質的には313名が参加したということになる訳だが、逆に見ると14%の人は欠席をしたことになる。これだけの欠席が発生した背景にはコロナ影響が含まれていると考えてよいのではないだろうか

(※)札幌17名/仙台7名/東京188名/名古屋28名/大阪53名/広島4名/福岡16名/欠席52名


さて、それでは僕が回答した内容と正答とを比較して結果がどうだったのかというと、品種が当たったのは0/6、つまり一つも当っていなかった。これを一体どのように解釈し、今後のワインライフに生かしていけばよいのだろうか

恥をさらすようだが正答と僕の回答を最初から並べてみると以下のようになる。品種だけに限定して見てみたい。それぞれ左が正答、右が僕の回答である

1.アシルティコ/リースリング
2.リースリングシャルドネ
3.ピノ・ノワール/メルロ
4.サンジョベーゼ/テンプラニーリョ
5.ジンファンデル/メルロ
6.グレラ/マカベオ

あらためてこうして眺めてみると「それ、間違う?」というような状態であることに愕然としてしまう。けっして特徴が似ている品種だということでもないと思う

1番のアシルティコはこれまでに飲んだ記憶がない。コンテスト会場で飲んだ時の印象からするとあまり強い味わいではなく、適度な酸味があったという記憶があるもののあまり強い印象が残っていない。幅広い産地のワインとブドウ品種に対する探究が必要だということを痛感させられた出題だった

2番のリースリングは特徴的な酸味が印象的だった。コンテスト会場ではとりわけこのワインが入ったグラスの正体が分からず最後まで悩まされた。ドイツのリースリングは最も好んで飲んでいたものの一つだったはずなのに、オレの舌はいったいどういうことになってしまっているんだ。おまけに(中編)では「アルバリーニョを選択すべきだったかも知れないが」などとリスクヘッジをしておきながらそれすらも外れている始末だ

3番はとにかく弱いワインだったと思う。輪郭が朧でほんとうに味わいに乏しかったように記憶している。味わいが弱いということで長野のメルロを回答してしまったのだが、そんなことを書いている自分の日本ワイン業界における立場は大丈夫かと一瞬心配になったのだが、よく考えるまでもなく業界の誰も僕のことを知りはしないということが救いだった

4番はあまり悩まずにテンプラニーリョを選択したのだが、これもまた似ても似つかないはずのサンジョベーゼだった。出題されたワインのヴィンテージは2014年。もう6年前ということになるから、テンプラニーリョと考えたこのワインの熟成感はヴィンテージによるものだったのかも知れない。まんまとしてやられたものだ(このコメント、合っているだろうか。なにせ6品種すべて外した男のコメントだ)

5番の正答はジンファンデル。僕はチリのメルロと回答してしまったのはよく言えばその果実味のせいだったのだろうか。ジンファンデル。イタリアではプリミティーボ。アパッシメントなど陰干しはこれまでも好んで飲んでいたが、アメリカのジンファンデルはあまり経験値がない。僕にとっては買って飲んでみようと思いづらい品種の一つなのだが

そして最後の6番目はプロセッコ。ヴァルドッビアーデネって、ついこないだサントリーさんから頂戴したものを飲んでいたはずなのに、このバカ舌が。「泡ものは味わいがよく分からない」と言うのは6品種すべて外した人間が吐くセリフとしてはあまりにもむなしい気もする


この結果には正直いってショックが隠せない。これまで10年以上にわたりワインを飲んできて分かったかのようなコメントをしてきたが、結局これまで自分が何を飲んできたのかはほとんど理解ができていなかったということなのではないのだろうか。急にそんなことが気になり始めてきている

とはいえ、ブラインドテイスティングのことばかりを考えると今度はワインを純粋に楽しめなくなるような気もするからバランス感覚は大事だと思う。負け惜しみに過ぎないが、あまり「ブラインドテイスティング原理主義」にはならないようにしたい。所詮は飲み物だ(されど飲み物であるのだが)

産地や生産者のことを考えながら一本一本のワインを大事に飲んでいく。当たり前のようだが、コンテストに初参加をしてみた感想として今はそんなことを考えている



第4回JSAブラインドテイスティングコンテスト (前編)
第4回JSAブラインドテイスティングコンテスト (中編)