ほぼ透明だがわずかに黄色みがかっている
まるでわた飴のようなほのかな甘さが香り、森の木のような爽やかな香りも感じられる。基本的には落ち着いていて派手なところのない端正な香りだ
ワインを飲みなれた口には多くの日本酒がとても甘く感じる中、この吟醸酒は甘さは控えめで男気溢れる辛口の味わいと言っていいと思う。とはいえチラチラと顔を見せるすっきりとした甘みは幅広い種類の食事との接点となり、優良な食中酒として成立させているようにも思える。酸も相応に感じられるため味わいが重すぎない。そしてフィニッシュに感じる苦味は味わいの複雑さと後味のキレのよさをもたらしている
全体的に味わいのバランスがよい日本酒だと思う。なにか特徴的な部分がある訳ではないのだが、それがかえって飲み手には安心な面もある。食事を選ばないというのはとりわけ美点になると思うし、これさえあれば日本の家庭におけるあらゆる日常の食事を引き立てる万能な調味料になるともいえる訳だ
地図を見てみると酒蔵の位置する立地が興味深い。山あいを流れる九頭竜川が平野部に出てきたそのちょうど取っ付きの辺りに位置している。逆に言うと、平野部のうち最も山側に近い辺りに位置すると言ってもいい。いわゆる扇状地の最上部と言うような場所を選び蔵を構えてあるというのは、恐らく伏流水の活用がその理由にあったのではないだろうか
黒龍 純吟
蔵元:黒龍酒造株式会社
原料米:福井県産五百万石
精米歩合:55%
日本酒度:+4.5
アルコール:15.0度
製造年月:R3年(2021年)1月
購入先:カブちゃんのお父さんからの頂き物