アルさんのつまみ食い4

旅と食とワインと・・・ずっと続けます

花に集まるハチ





前回はミツバチのことを書いた。そのミツバチと同じ花の周りを飛んでいる、ミツバチとは明らかに特徴の異なるハチがいた

その一つがまずこちらのやや青っぽい色をしたハチだ。ミツバチに比べると体が小さく、動きはよりせわしなくてすばしっこい。小さいうえに次から次へと花を飛び回るのでスマホで写真を撮るのに苦労する。おかげでだいたいがブレていたり焦点があっていない。しかも風が吹いているとハチがとまった花も同時に揺れている。そして撮った写真からネットで該当するハチを探してみるのだがどうしても何というハチなのかが分からない


そこで捕獲してみることにした



昼休みになり、スーパーに置いてある薄いビニール袋を手に持って現場に行くと期待した通りに青いハチが飛んでいる。そっと近づいて花にとまっているところをガバッとやると一発で捕獲することができた。家に持ち帰り、空いたワインボトルに入れてみる。ボトルの中でもせわしなく動き続けるハチ。ガラスに足を滑らせていたので割り箸を入れて止まり木にしてみたりして、よく観察してみる

僕は最終的にこのハチを「アオスジハナバチ」だと同定した。いや、専門家ではないので正しいかどうかわからないが、少なくともアオスジハナバチにもっとも似ていると思った。捕獲した時点ではお腹の周りに蓄えていた黄色い花粉が、しばらくすると全て無くなっていた。おそらく人間に捕獲されワインボトルに放り込まれるという緊急事態に余計なものを体から振り落としたのかも知れない。そんな様子を見てだんだんとこのハチのことが気の毒になってきてしまった僕は、このハチの処遇についてさてどうしたものかと考え始めた

アオスジハナバチは集団で巣を作らないらしい。単独で穴を掘ってそこに生活したりしているらしい。捕獲したこのハチをどうするか、このまま死なせてはかわいそうだし、仕事が終わって夕方の暗くなってから現場に戻って放つのではもしかしたら巣に帰れないかも知れない。では明るい時間帯に家の窓から逃がしたらどうかとも思ったのだが、採取した場所まで少し距離があるし、ミツバチのような巣がないということなのでフェロモンだか何かを嗅ぎ取って(嗅ぎ取って、という言い方が生物学的に正しいかはさておき)巣穴に戻るということができないかも知れないと思った

悩んだ挙句、仕事中に少しの時間(ほんの少しの時間だ。少なくとも喫煙者が喫煙室、あるいは自宅の換気扇の前やベランダに立っている1日の時間よりははるかに短いと思う)部屋を抜けだして捕獲した場所で逃がすことにした。ハチをボトルから袋にもう一度戻して――

袋からハチを放つと花ではなくまず真っ先に石垣に飛んでいき、そしてとまった。まるで「やれやれ。大変な目にあったな」というように手足で顔や体を拭いている(ように見えた)



また別の日に見に行くと、同じ個体かどうかは分からないしおそらく別の個体だと思うのだが、またアオスジハナバチが花の周りを同じように飛んでいた。この日は風が少なく、しかもいつもはせわしない動きをしているこのハチがなぜか比較的ゆったりと花粉を求めて飛んでいる。前の時よりも写真がよく撮れたし、その写真を見るとミツバチが足に花粉をつけるのに対しアオスジハナバチはお腹に黄色く花粉をつけているところがよく見える




そしてもうひと種類別のハチ、それがこの細くてまるで蚊のようにも見えるハチである。はかなげで、しかし動きがアオスジハナバチよりもゆっくりとしているので写真は撮りやすい。しかし線が細いこともあってピントが合わせづらい

上の2枚と下の2枚は別の日に撮った写真で、上が昼、下が朝にそれぞれ撮影したもの

このハチは更に種類が分からない。おそらくハチではなくアブ、より具体的にはヒラタアブの一種ではないかと思うのだが定かではない。このアブ(仮にアブとしよう)を見極めるのにはアオスジハナバチですら相当な時間がかかったのに、こちらはそれ以上の手間がかかりそうなので諦めた。虫の世界は種類がたくさんあり過ぎるうえ、ネット調べていて知ったことなのだがハチやアブといった昆虫はまだあまり研究が進んでいないと言うような話も知った