アルさんのつまみ食い4

旅と食とワインと・・・ずっと続けます

純米酒を極める


ちょっと前に買ったきり本棚に並べたままにしていた本を久々に取り出して読んでみたら面白かった



タイトル:純米酒を極める(光文社新書
著者:上原浩
発行:2003.9.5(4刷)


本書を執筆したすぐ後の2006年に永眠されたということでご冥福をお祈り致します


いずれにしても、鳥取県工業試験場に働いた酒造技術者としての著者の言葉は裏付けがしっかりしており信頼ができる

市場に並ぶ日本酒の表層的なラインナップや傾向を消費者としては断面としてしか見ることができないけれど、それだけでは本当の日本酒について気づけないような長く勤めた酒造技術者ならではの視点が興味深く、一気に日本酒の世界を理解するにはもってこい

大正14年生まれの人の言葉は言い回しは少し古く聞こえる部分もあるけれど、現代的な若者言葉が耳に障る僕としてはジワッと染み入ってくるしよく理解できる

日本酒の歴史を概観するにもよいし造りのことにも多く触れているので、しっかり読み込むとかなりの知識が身につきそうな良書

個別の蔵元についての言及もあるので、今後の日本酒選びの参考になりそうな情報もある


驚いたのは、「日本酒はもともと原酒のままではなく、割り水をかけて飲むものだ」という部分。さらに「ワインやビールを水で割るわけにはいかないが、日本酒なら割れる。割り水ができるということは、日本酒の魅力の一つだと言ってもいい」続く


「酒造家の方で割り水をかけて濃度を調整してから出荷しているのに、飲み手の方で割ってはいけないという理由はない」

「そもそも、現在の清酒のアルコール度数が15~17度台に定まっているのは、戦後に定められた級別区分の名残であり、歴史の自然な成り行きではない。むしろ軽快な酒が好まれるようになった今日まで、この濃度が保たれていることの方が少々おかしいのである」


これらの記述には大変びっくりしました。そうか、そうなのか・・

著者は週二日の休肝日(休肝日と言っても「この日にはビールを飲んでいる」と書いてありましたが・・)を除き毎日割り水をし燗にした日本酒を4合飲んでいるそうです。4合瓶は720mlだから相当な量ですね・・そして、燗にして体温と同じくらいの温度にしないと胃から吸収されないので、冷やではなく燗にした方が体にもよいそうです

僕はまだ実際には割り水をかけて飲んだことがないけれど、近いうちに試してみたい飲み方でした。確かにちょっと重過ぎるのですよね、日本酒のアルコール度数って


この本を購入した時はイマヒトツ日本酒モードじゃなかったせいか読むことができずにそのまま本棚にしまったままになっていたけれど、いま、ちょうど読み時が到来したようです

ワインに飲み頃というものがあるのと同様に、本書はいま、とても興味深く読むことができました



人気ブログランキングに挑戦中。ポチッと応援よろしくお願いします!