濃くて赤みが強い深いルビー色
やや枯れた熟成した香りには森の倒木やオガクズのようなニュアンスがあり、かすかに木酢のような香りも鼻先をかすめる。95年、品川プリンスで開催されたソムリエコンテストに優勝した田崎真也さんが「石の下で死んだカブトムシ」という表現を用いて絶賛されたという逸話を聞いたことがある。そのワインがリオハだったのかどうかまでは分からないが、僕自身はオガクズのような香りを嗅ぐと子供の頃にオガクズを敷いたケースの中で育てたカブトムシのことを思い出す
ファーストアタックはとてもまろやかで柔らかい。酸も穏やかだ。タンニンはほどけていてギシギシしたところがない。かといってシルキーなほどに滑らかなものでもない。熟成により果実味は後退している。このレゼルバのまろやかさは果実味によるものではなく、熟成による包容力と言ってもいいかも知れない。その包容力により様々な食事との接点が見出しやすい気もする
グラスをしばらく置いておくと焦げたようなエスプレッソが香ってくる。香りも複雑に発展していくようだ
ムガのワインを初めて知ったのは旅行で訪れたサンセバスチャンの街角のショーウィンドーだった。通りに面した酒屋のディスプレイなどで頻繁にこのワインラベルを見かけた。きっと有名なワインなんだろうと思ったのだが今までに見たことも飲んだこともないワインだった。”MUGA”というシンプルなブランド名とその音感が妙に頭に残っていた
ワイナリー:ボデガス・ムガ
ヴィンテージ:2015年
アルコール:14.0度
インポーター:ジェロボーム
購入先:ジェロボーム(20年12月ファミリーセール)
価格:2574円(税込)