ルアンパバーンでの日々はあっという間に過ぎてしまい、この日はルアンパバーンを去る日だ。午前中は時間があったので早起きをして最後の托鉢の光景を目に焼き付けることにした。最初の朝に見たのと同じ光景だ。違いはない。まあ違いがあるはずもないだろう。毎日同じように繰り広げられている行動に目で見てそれと分かるほどのバリエーションがあろうはずもない
その後は少し散歩をして最後のメコン川へも出かけた。まだ朝の早い時間のメコン川はとても静かだ。対岸の山間には低く雲もかかっている。一艘の船が川の上を滑っていく
最後のホテルでの朝食はこれまで食べたメニューの中で一番良かったものを選んだ。カブちゃんも僕もパンケーキを選択。ボリュームもあるし、野菜や玉子もついているからバランスも良さそうだし、何と言っても美味しい
一度訪問して美味しかったカフェラテを最後にもう一度飲みに行こうと出かけたカフェでは隣のヨーロッパ人女性がハルキ・ムラカミを読んでいた。そうか、村上春樹さんの作品は本当に世界で読まれているんだな、ということを理解した。そういえばルアンパバーンへ来る途中のトランジット先のハノイ空港ではノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロを読んでいる西洋人もいた
特に何があるという訳でもなかったルアンパバーン。もっとも見かけたのはフランス人だった。こういう場所、フランス人は好きなんだろうなと思う。何がある訳ではない、ということが逆にミソというか、何もないからこそ訪れているということなんだろうと思うのだ
何かしないといけないと思ってしまうのが日本人の悪い癖かも知れない。でもせっかく時間とお金をかけて訪問している訳なので、何もせずに日がな一日カフェやメコン川沿いのレストランでビールを飲みながらぼーっとして過ごすということはなかなかできるものではない。一か月くらい滞在するなら中にはそんな一日があっても良いと思うのだが
そうか、西洋人は旅行日程が長いのか。短くても一週間、下手したらそれこそ一か月くらい滞在しているのかも知れないな