アルさんのつまみ食い4

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2023年 ラオス(ルアンパバーン)旅行⑥

 

 

 

帰りもハノイでトランジット、乗り換え時間が短いのは危険だと思い一泊することにした。宿泊したホテル、パラゴンホテルは空港から有料送迎が可能だ。ホテルへの電話が必要とのことだったが電話番号を持っていないし言葉の問題もあるため、ルアンパバーンにいる間にホテルへメールし送迎をお願いした。ホテルにしてみると本来は電話受付が標準オペレーションなはずだからメールでの依頼はイレギュラーな対応になる。少し心配だったが、ハノイの空港に着いてから「いま空港。指定されたタクシー乗り場のあたりまで来ている」という趣旨の内容のメールを送ったところちゃんと迎えに来てくれた。少し不安だったところがうまくクリアできてホッとした

ところが乗り込んだ車は走り出してものの5分くらいで空港前の大通りから横道に入り、小さなレストランや商店の間をスルスルと抜けてあっという間にホテルの前に停車した。この距離であればスーツケースを引きながら歩いても十分に到着できる距離だなと思った。往復の送迎のうち片道は無料ということだったが、この距離であの値段は少し割高の印象だ。もし同じホテルを予約することがあれば歩いていくことも選択肢として検討してもいい

いずれにしてもトランジット先で1泊することになり観光をする余裕が出来たので初めてのハノイの街に出かけることにした。ちなみにハノイでは台北で両替した米ドルの中から50ドルだけをベトナム・ドンへ両替した。そしてカブちゃんの携帯電話の分だけベトナムSIMカードを購入した

 

心配していたのは空港からハノイ市内までの移動手段だ。空港と市内を結ぶ移動はタクシー、バスが主な選択肢になるようだった。ただバスは本数が少ない。混んだら立って乗ることになるだろうしうまく時間が合わないと長い待ち時間が発生する。一方でタクシーはホーチミンで痛い目にあった経験があるので印象がよくない。それに値段の交渉が難しそうだ。Grabというタクシーアプリを使えばいいという情報もあるのだがアプリを使ってタクシーに乗ったことが無い、そもそも台北や東京でもほとんどタクシーに乗らない生活をしているのでいまいちタクシーは使いづらい。結局、一番チープな86番のバスを利用することにした

朝7時ごろにホテルから空港まで車で送ってもらい、まずは空港でスーツケースを預かってもらうことにした。場所は空港の2階、行けばすぐに場所は分かる。預けた後に荷物をスキャンするからと言われて係りの女性について行くと空港の裏口みたいなところからⅩ線検査機の所まで案内され、そこでスーツケースを検査したところで解放された。実際、それほど厳密にスーツケースを検査しているようにも見えなかったのだが手続きはかなりしっかりしているという気がした

 

空港の出口に戻り早速86番のバスを探す。すぐに見つかった。国際線の出口、出て左斜め前方に2台の86番バスが止まっている。運転手さんらしき人へ出発時刻を聞いてみれば8時45分発だという。

実際にはバスの運転手さんと会話が出来たわけでは無く運転手さんが提示した携帯電話の音声翻訳を使って「バスは何時に出発しますか?」と僕らが日本語で話しかけることでようやく話が通じたのだった。英語もダメ。ハードルの高さを感じる瞬間だった

いずれにせよいまはまだ8時過ぎの時刻だ。あと40分くらいあるのでトイレに寄ったりしてバスが出るのを待つことにした

 

2台並んでいる86番のバスのうち僕たちは後ろの方のバスに案内された。そしてこの後方の1台だけが国際線ターミナルを出発する。86番のバスルートは始発がこの国際線ターミナルであるということは間違いないだろう。事前に調べた限り国内線ターミナルが始発だという情報もあるのだが、少なくとも24年1月の段階では国際線ターミナルが86バスの始発であることは間違いない。その後に国内線ターミナルへより、そしてハノイ市内へ移動していくことになった

バスは満席ではない。混んでいたらどうしようと思っていたがそれは杞憂だった。最も安くハノイ市内へ移動できる手段、かつ本数が少ないということが気がかりだった不思議なほど利用しやすかったというのが実感だ。逆に、このような乗車率だからこそこの本数で運行しているんだろうとは思う。しかし、ということは他の旅行客はみなタクシーで移動しているのだろうか。あるいはハノイ市内のホテルが手配したバスにでも乗車しているのか。いろいろよく分からないことが多いのだが、そんなことを考えている間にバスはハノイ市内に到着した

 

初めてのハノイルアンパバーンとも台北とも街の雰囲気が異なる。当たり前だけど、それがまた新鮮だったし、僕には印象が良い街だった。ホアンキエム湖畔ではビリー・ジーンに合わせて体操をしているマダム達がいたのも印象的だった

街並みにはどことなくフランスを思わせる部分もある。やけに歩道が狭いうえバイクが止められているので歩けるスペースが少なく、必然、路上の端の方を歩かざるを得ないこともある。バイクのクラクションはうるさい。思った以上にうるさい。そのうえ何も解決しないクラクションだなという気がした。クラクションを鳴らして注意喚起する、歩いている人に注意を促し路肩に移動させる、あるいは他の車やバイクに警告する、ということがクラクションの役割だったりすると思う。しかし観察していた限りここハノイで鳴らされるクラクションが交通状況を何一つ改善させているようには見えなかった。鳴らされた方が道を譲る、横によける、ということがないせいだ。結果、ただうるさいクラクションだけが街の中に響いている、そんな印象だった

もしかしたらこのような喧噪の街並みこそハノイらしさ、ベトナムらしさだと思って好感を持つ旅行客もいるかも知れない。少なくとも数時間しかハノイに滞在しなかった僕はそっちの方の旅行者だったと思う。嫌いではないな、と思った。しかしカブちゃんの印象は真逆だったようで、もうハノイは来なくていい、というのが彼女の感想だった。この旅行で唯一雨に降られたのがこのハノイ、ということも心象として悪い方に作用したことは否めない。旅程の最後の最後でスニーカーを濡らすことになってしまったのだから