10月のヤルンバワインイベントに引き続き、サントリーから食事会にお誘い頂きました
実は12月にも日本ワインイベントにお声がけ頂いたのですが、どうしても外せない仕事が入ってしまいやむなく当日ドタキャン・・
ということで、ワインブロガーを呼んでのイベントとしてはこの2月開催のものが3回目になるのだと思います
ヤルンバのイベントに参加した時、周りのブロガーさんのワインに対する知識や経験におののいた記憶があり、この日もおっかなびっくり指定された会場に向かいました
場所は六本木にある「瀬里奈 本店」
接待で利用されることの多いらしい、いかにも高級料理店といった佇まいの外観に緊張がより一層高まります
このイベントに集まったの僕を含めてワインブロガー12名
前回が7名だから、かなり人数が増えていますね
パワポを使った説明資料が今回も準備されていました
そしてイベントで提供されたワインはこの3種類
左から、甲州、シャルドネ、そしてボルドーブレンドの赤ワイン
これらのワインを瀬里奈の料理に合わせるという趣向です
イベントはまず、マイスターズドリームで乾杯からスタート
2011年から4年間にわたり登美の丘ワイナリーに在籍されたチーフワインメーカーの方から、それぞれのワインの説明や登美の丘ワイナリーについてなど、詳しく講義頂きました
あるいは、サントリーの歴史についても
サントリーの歴史を知ることは、日本ワインの歴史を知るうえで不可欠だということにも気づかされました
有名な赤玉ポートワインが発売されたのが1907年、明治40年なのだそうです
もう100年以上前になるのですね
その後、1909年に鉄道参議官の小山新助氏が登美農園を開園し、1936年にサントリーの前身である寿屋が農園の経営を継承
この辺りにサントリーのワイン造りの起源があるようです
そのほか、いろいろお聞きした内容を以下にまとめてみます
〇日本で作られるブドウ品種。泣く子も黙る、国税庁の調査によると?
昨年初めて、生産者が作るブドウ品種について国税庁がアンケート調査を行ったそうです
さすがに相手が国税庁ということもあって、生産者もまじめに(?)回答したと思われるアンケートによると、
・赤はマスカットベリーA、白は甲州が最も生産量が多い
・続いて、赤はコンコード、キャンベルアーリーが多い
・白は、ナイアガラ、デラウェアが多い
・欧州系品種では、赤がメルロ、白はシャルドネが生産量のトップ
ベリーAと甲州は予想通りとして、やはり日本ではヴィティス・ラブルスカの生食用ブドウをワインに使用していることが多いということがデータからもよくわかります
〇生産者像の変化とワイナリーの増加と・・
日本のワイナリー数が増えているようで、とくに2000年以降は増加傾向にあり、220軒(15年9月時点)を超える勢いで増えているそうです
その中には小さいワイナリーもあって、個人で5千~1万本くらいのワインを作って暮らしている人も多いのだとか
〇日本ワインの市場が急拡大!
2011年以降はケース数で対前年110%前後で市場が伸びているらしい
これはすごい伸び率ですよね
頂いた資料を見ると、2014年には年間110万ケースほどの市場があるようです
ここにこそ、日本ワインを盛り上げる!というサントリーの狙いがあるのでしょうか
〇サントリーのワイン造りは?
サントリーは国内に、
・岩の原葡萄園(新潟)
・塩尻ワイナリー(長野)
・登美の丘ワイナリー(山梨)
の合計3つのワイナリーを抱えているそうです
しかし、日本ブドウのワインというカテゴリーにおいては中堅規模らしいです
これは意外でした
登美の丘ワイナリーは甲府盆地にあり、標高約250メートルでややワイン産地としては高い位置にあって、比較的涼しい産地だそうです
滑らかな弁舌から繰り出されるだいたいそのような話を、ワインを飲みつつ、料理を食べつつ、耳を傾けて過ごしました
最初から贅沢に3種類のワインを同時に飲めます
次々と出てくる料理に対し、自分でどのワインが合うのかを試しながら試飲することができたのがよかった
■登美の丘 甲州 2014
2014年は悪天候と好天候が交互に訪れた苦労した年
遅摘みの甲州は10月まで完熟をさせるそうです
甲州は、遺伝的には欧州品種のソービニヨンブランと中国のトゲブドウのハイブリッド品種であることがDNA解析で分かってきたそうです
シルクロードを渡ってくる間に混ざったのではないかということなのですが、何だかロマンがある話ですね
かなり淡い色合い、柑橘系のフレッシュな香り、樽も効かせているせいかナッツ類も重なる
キレがありシャープな酸、そしていつも僕が甲州に感じる穀物のような香りが鼻から抜けて行く
■登美の丘 シャルドネ 2013
2013年はよく熟した年
グリーンがかったレモンイエローで、甲州よりもだいぶ色合いは濃い
樽がよく効いていて、柑橘系の香りにクリーミーな印象が重なり、厚みを感じる
近年ではこのシャルドネが作られた13年、それに12年、09年、05年、04年、02年がワイナリーにとってよいヴィンテージなんだそうです
■登美の丘 赤 2012
雨は13年よりも少なかった年
セパージュはメルロ40%、カベルネフラン33%、カベルネソービニヨン20%、プティヴェルド7%
別々に醸造してからブレンドするそうです
やや茎っぽい青さを感じる香り
グラスに口を当てて傾けると、非常に柔らかくしなやかに液体が口の中に滑り込み、そのままフワーッと口内に広がっていく
そのせいか、やや輪郭がぼやけた印象になってしまいましたが、この柔らかさが繊細な和食をうまく受け止めるような気がします
ボルドーの赤ワインには熟成でなめし皮やケモノっぽい香りが出てくるといいますが、これは成分的には硫黄の香りなのだそうです
でもここ日本ではそのような香りを出すことは難しいようで、それはやはり土壌によるものみたい
ワインメーカーの方の話が終わってからは、サントリー社員さんとワインブロガーがそれぞれの席でそれぞれにワイン話をして過ごしました
僕は目の前に座られた国産ブランド部課長様から、日本の農業と国のかかわり、ラグランジュでのワインブレンド技術など、様々な話をお聞きしました
勉強になる一方で、色々とワインについて考える幅と契機を与えて頂いた気がします
日本ワインと料理のマリアージュも重要だったはずなのに、瀬里奈のおいしい料理もそっちのけでワインを飲んだり話をしていたので、味をはっきり覚えていないのですが・・
写真はしっかり撮っていたので一挙掲載しておきます
前菜の三品
ほうれん草とワラビのお浸し
ごま豆腐、生うにのせ
特選牛炙り寿司
お造り(鮪・鯛)
盛り込み料理
かにサラダ
青森県産 帆立のバター焼き
鹿児島県産 新筍の唐揚
銀だら西京焼
台物
特選牛サーロインステーキ
ガーリックライス
香物
汁
デザート 杏仁豆腐
ガーリックライス辺りで「そろそろお時間も・・」となって慌ててかき込んだ次第
宴の後
今回のイベントで興味深かったのは、「草生栽培」という考え方でした
サントリーは1983年にサンジュリアンのシャトー・ラグランジュを買収、歴史あるラグランジュの知見も取り入れて雨の多い日本でどうしたらボルドーの味に近づけるかの試行錯誤をしてきたそうです
しかし、先に書いたように土壌の成分が異なるためにどうしてもなめし皮のような動物的なニュアンスは出てこない
そんな中、「世界に誇れる日本ワインを作りたい」という先人の夢を継承し、「日本ならでは」「サントリーならでは」のワイン作りを始めました(テキストの受け売りですが・・)
そこで出てきた考えが「自然と共生したワイン作り」なんだそうです
河岸のワイン産地であるボルドーでは、土地を手入れせずに放っておくと砂と砂利に還っていく
同様に、ここ日本の登美の丘ワイナリーを手入れせずに放っておくと、草に覆われていくのだそうです
そこに着想を得たのが「草生栽培」で、自然と生える草をそのままにしてブドウ栽培をしているようです
こうしてテロワールを表現しようとしているのですね
ここでは書ききれないくらいに情報満載のワインイベントでした
次回はサントリーの方々が3月に登美の丘ワイナリー見学を計画してくれたのですが、僕は残念ながら欠席・・
次のワイン会を楽しみにして、今日はここまでにしたいと思います
サントリーの皆様、並びにご同席頂いたワインブロガーの皆様、楽しい時間をありがとうございました
最後に情報です
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サントリーの日本ワインのサイトはこちらから見ることができます
日本ワイン サントリー
http://www.suntory.co.jp/wine/nihon/
イベントで登場したワインはネットでも買えるみたいです
【登美の丘 赤 2012】
http://item.rakuten.co.jp/wineuki/1900001001220/
【登美の丘 シャルドネ 2013】
http://item.rakuten.co.jp/wineuki/1900002001526/
【登美の丘 甲州 2014】
http://item.rakuten.co.jp/wineuki/1900002001762/
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