アルさんのつまみ食い4

旅と食とワインと・・・ずっと続けます

藤原新也写真展 「花のParis」を見てきた


きっかけが何だったかさっぱり覚えていないのだが、写真家であり執筆家であり船長でもあるところの藤原新也氏を知ってからずっとその動向を追いかけている。そして思い出す限り、一番最初に氏の作品に触れたのは新宿のエプソンイメージングギャラリー「エプサイト」でみた写真展”フェルナンド・ペソアの午後”だったような気がする

なぜその作品展を見に行ったのかがそもそも思い出せないのだが、もしかしたら友人に「メメントモリ」を教えてもらい写真家として興味を持ったせいだったかも知れないし、ポルトガル旅行を計画していていろいろ調べるうちにこのポルトガルの写真展がヒットしたせいだったかも知れないし、あるいはちょうどデジタルカメラの購入を検討している中でエプソンのカメラに興味を持ったせいだったのかも知れない。まあ、今となってはそんなことはどうでもいいのかも知れないが

そういえばいま思い出した。東日本大震災後、藤原新也氏のブログでやっていたプレゼント企画に応募してみごと当選して頂いた日本酒の記事のことを


そんな藤原氏の写真展をやっているということを知りさっそく銀座のライカギャラリーへ出かけてみた次第




氏の写真がなぜだか好きだ。カメラの詳しい技術的なことはよく判らないのだが、フレームの四隅が微妙に暗く陰っていて画の中心に目が行くというような、視座の安定性がある写真は見ていて吸い込まれるかのようだ。またソフトな画質も柔らかく、見ていて疲れない。それに、なんというか、剥き出しな感じもいい

藤原新也という作家は、ブログであれ文章であれ、なんであれその作品に触れてみれば分かるのだが身体性をとても感じる作家であるように思う。書くもの写すものすべてが氏の肉体のフィルターを通して描かれているということがよく分かる。小手先でも口先だけでも脳内だけの虚構でもない。事実や現実を冷徹に眺める生身の人間の視点がそこにはある。と、思う。それがゆえにリアリティーがあり、単なる技術を見せられている訳ではないという安心感があるし、ちゃんと読者や作品を眺める側であるところの自分自身の実生活の延長線上に藤原新也氏の作品があるのだ、という体温が感じられる作品だと思うのだ


なお、現在ライカギャラリー銀座で行われている「花のParis」展は2020年3月6日から5月31日まで。作品数はそれほど多くない展示ではあるが、やはりじっくりと眺めてしまう作品たちだった



ライカギャラリー東京
東京都中央区銀座6-4-1
03 6215 7070



※4月22日現在、ライカギャラリーは閉鎖中であるとのこと