アルさんのつまみ食い4

旅と食とワインと・・・ずっと続けます

千駄木を歩く



坂上の交差点から南東に抜けて行く道沿いにはどういうわけか電柱というものが一切ない。これには前から不思議に思っているのだがいまだにその理由がよく分からない。いずれにしてもこの道は電線がないおかげでかなりすっきりとした風景になっている

どこかヨーロッパの街を歩いているような気分になるといったら言い過ぎかも知れないが、都内の多くの街では電柱と電線が見られることを考えると何とも不思議な風合いの道であることには違いない




ただの通りには違いないが、道沿いには「ファーブル昆虫館」のようなきっと虫好きの子供たちには楽しいであろう施設があったり、高村光太郎旧居跡があったりと、文化的で歴史的な建物などが点在していてじっくり歩いてみるととても味わい深いものがある




20年8月末に惜しまれながら閉園した豊島園を創設した藤田好三郎によって造られ、のちに安田財閥の所有となり現在は日本ナショナルトラストによって保存されている「旧安田楠雄邸」などもあり、一層の趣き深さがある




ふと左手の曲がり角の奥の方に目をやると、向こうの方に公園のようなものが見えてくる。そちらの方に歩いて行くと見えてくるのが「須藤公園」だ

文京区のホームページから調べてみるとこの「須藤公園」は加賀藩支藩大聖寺藩の屋敷跡らしい。その後に長州出身の政治家品川弥二郎の邸宅となったのち明治22年(1889年)に実業家須藤吉左衛門が買い取った。昭和8年(1933年)に須藤家が公園用地として東京市に寄付したのち、昭和25年(1950年)に文京区に移管されたということだ




この界隈は本郷台のヘリの部分になるのだろうか、道沿いに歩くと左手(方角で言うと東側)に向けて斜面になっている。この斜面を下るとそこは不忍通り

今回の道歩きで最大の発見は「伊勢五」。普段であればそのまま団子坂まで抜けるところ、この台地の斜面を降りてみようと須藤公園へ向かった先に見つけた酒屋だ。外観からすると酒造のように見え、中に入ると日本酒、焼酎それに日本産ワインまで並べてある。こんな場所にこんな酒屋があるとは思わなかった。またあらためてじっくりと棚を眺めにやって来てみたいと思った




不忍通りを一つ越えると住所は谷中になる。この辺りには穴子寿司で有名な「乃池」や千代紙の「いせ辰」などが店を構えていて、これぞ谷中な地域に入っていく




普段とは違う道へ一本入ってみるだけでいつもと違う景色に出会うことできる、そんな東京の街歩きはいつでも楽しいと思う




参考:今回歩いた大まかなコース