アルさんのつまみ食い4

旅と食とワインと・・・ずっと続けます

「絶対はずさないおうち飲みワイン」読了

 
日本を代表するワインライターである山本昭彦さんの書く物はこれまでもいくつか読ませてもらってきた。たまたま見つけて読んだ、というよりもむしろ”探して読んでいた”と言ってもいい
 
ワインを取り巻く業界の最新情報だったり、銘柄や個別ワインに対するコメントだったり、ワイナリーの情報だったり。そういった情報や知識が得られる貴重な日本語で書かれたドキュメントであるということ以上に、何よりその文体がとても気に入っていたから、というのがその理由でもある
 
最新作の「絶対はずさないおうち飲みワイン」は、同じく朝日新書から出ている「おうち飲みワイン100本勝負(2011年4月)」や「おつまみワイン100本勝負(2013年12月)」に連なる第三作目といった位置づけととらえてよいと思うが、一読して気づいたのは文体の変化であった
 
これまでは「~だ」「~する」「~がある」といった口調だった。わりとドライではあるが、そのカラフルなワーディングの使い方や複眼的な視点からくる視野の広さと開放性のある文体がとても好きだった
 
 
 
 
それが本作からは「~です」「~します」「~があります」といった丁寧な口調に変わっている。ただし口調が変わっているだけで内容は従前とそれほど変わっているという訳ではないし、先を読みたくさせるようなグリップ感のある文章という点は何ら変わっていなかった。もともと新聞社の記者だったということもあり、取材力とコメント力は素晴らしいといつも感服している
 
もう一つ、この本を手にすることのメリットとして最新のお手頃ワインリストがまとめられている、という点があると思う。さまざまな媒体に散発的に取り上げられていた、山本さんによる評価の高いワインたちがここにまとめられている。この本で取り上げられたワインを買って飲めばまず間違いがないうえに、業界でも評判の最前線のワインを試してみることができるという訳だ
 
本の帯にある通りワインの初心者向けの本ではあるが、その部分はすっ飛ばして読んだとしても取り上げられているワインリストからは目が離せない。ネットで調べて、そのうちのいくつかは買って実際に飲んでみたいと思っている
 
都内のとあるレストランで山本昭彦さんを見かけたことがある。プライベートのところを大変に申し訳なかったのだが、厚かましい僕は店員さんにお願いし、直接会話させて頂いたという思い出がある。ミーハーだが、写真も一緒に撮ってもらった。まだ新聞社の記者だった頃の名刺も頂いた。その名刺は、いまも大切に保管している