







このお店に来たのは2回目だ。一度は会社の同僚に誘われて昼に来たことがある。8月のとある帰り道、立ち寄ってみることにした。ちなみにこちらのお店には名前らしい名前が無い。グーグルで調べても料理名がそのまま店名のように扱われている
ここのお店はいさぎがよい。メニューは2つしかない。大根と骨付き肉の排骨が入った排骨湯、それとキャベツご飯(高麗菜葉飯)のみ。内用(店内食)か、外帯(持ち帰り)か、と聞かれ「内用」といって適当な席に座ると何も言わなくてもこの2品が自動的に運ばれてくる。仕組みは極めてシンプルだ
味の方だが、初回の時よりも美味しく感じた。季節はもっと涼しい季節だったはずなので熱い排骨湯なんかを食べるにはもっと適した季節だったようにも思うのだが、真夏の8月初旬に食べた今回の方がなぜか美味しく感じた。いちおう建物の屋根の下に入っている店ではあるが扉というものが無い。半ば路上といっても過言ではなく、よってエアコンもなくただ扇風機が回っているだけだ。こんな状況で熱々のスープを食べるなんて日本にいたら考えられないような気もするのだが、なぜかそれが出来てしまう空気が台湾にはある。ある、ように思う
一つには日が落ちるとだいぶ過ごしやすく気温が下がってくるということがあると思う。日本では日が落ちても熱帯夜といって30度を下回らない日も多いと思う。実際、気温を計ったわけでは無いのだがなぜか台湾では夜は気温が下がり吹く風は涼しく感じられる。30度もあるだろうか。夜市とはこういった時間帯に出歩いて楽しむものだ。そして朝目が覚めて窓を開けた時の風の中に何とも言えない爽やかさも感じられるのだ。そして昼はまた猛烈に暑くなる。皮膚がひりひりするほどの暑さに
この店で流れていた音楽はヨーロッパの教会で流れていそうなパイプオルガンの曲だった。なぜそんな曲がこんなローカル色豊かな店で流れているのか。外を見るとスクーターがぶんぶん走っている。聞こえてくる会話は中国語。そして天井には扇風機がぐるぐると回転している。目の前にあるのは排骨湯とキャベツご飯。ここは一体どこなんだ。一瞬わけが分からなくなる。しばらくするとその音楽が終わり、ナレーションが始まった。おそらくラジオだったのではないだろうか。それにしてもラジオ局の選択が変わっている気がする
だいぶ話がそれたが味の方に話を戻そう
排骨湯の大根はよく煮込まれていて柔らかくスープの味がよく浸みている。いわゆる日本のおでんの大根と思っていい(しかし”おでん”の語源はなんだろう。田楽だろうか)。そして骨付き肉の排骨湯だが、ごつごつした骨付き肉というのは日本人にとっては非常に食べづらく思うのだが肉の味は良い。身の部分は柔らかいので金属製の箸と金属製のスプーンでガシゴシと剥がしては口に運ぶ。こちらも美味しい。そしてキャベツご飯。こちらは一転、いわゆる炊き込みご飯だ。優しい味わいだがちゃんと味もついているので食べやすく、日本人の口にも薄すぎる味という感じではない。体にも良さそう。そしてこの料理を料理として完結させかつ一段の高みに持ち上げるのがテーブルにおいてあるやや辛いタレであろう
お店の人が「ほれ、これ使いなよ」という感じでタレが入った壺(つぼ?)を僕の目の前に持って来てくれた。そして小皿が入ったテーブル上のプラスチックケースを指さす。それを取り出してそこにタレを入れろ、という意味だ。排骨はそれ自体だけではやや味が薄いのだがこのタレをつけると俄然味わいがよくなる。排骨を箸でつかむ、それをタレにつける、口に運ぶ。そしてすかさずキャベツご飯を金属製のスプーンですくって口の中に入れ、肉とご飯とタレの一体感を楽しむ至福感。とある暑い8月の台北の夜の出来事だ
排骨湯 高麗菜飯
台北市中山區合江街2號
0987-293-527