アルさんのつまみ食い4

旅と食とワインと・・・ずっと続けます

映画「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」とワイン

 
 
 
公開2日目となる10月2日の土曜日、ダニエル・クレイグが最後のジェームス・ボンドを演じる「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ(No Time to Die)」をTOHOシネマズで観てきた。007シリーズはそれまでほとんど見たことがなく、そういえば僕の大好きなノルウェーのバンド、a-haがテーマ曲を手掛けた「リヴィング・デイライツ」という作品もあったがこれすらも観たことがない。007シリーズとして初めて見た「カジノロワイヤル」でドはまりして以降ダニエル・クレイグ作品は必ず観てきたお気に入りの作品だ
 
いずれにしてもダニエル・クレイグが主演を務める作品はこれが最後となるらしい、ということは実は本作を映画館で観るまであまり意識していなかったのだが、映画のラストシーンに至る顛末を観ながら「あぁ、これでダニエル・クレイグは最後なのか…」と気づくに至りとても残念で寂しい思いに浸ってしまった。今までよりも派手なシーンは少なかったが意外なキャラクターが登場してきたりして存分に楽しめた。この映画の魅力はダニエル・クレイグが演じるジェームス・ボンドの心の機微だったり、レトロ感のあるアストン・マーティンが都会や世界遺産の街を走るシーンだったり、様々な乗り物を乗りこなす動的なシーンと森や湖や山といった自然が醸す静的なシーンのコントラストだったりと、数えだせばキリがないのだが、そのいちいちをあげつらって話の流れから切り離し個々を説明したりしてもあまり面白くも何ともなく、要は「観るしかないよ」ということである
 
とまあ、エンターテインメントとしては最高に楽しみだった作品が観られたことは大変にハッピーだったのだがこれは映画評をするブログではないので(映画に詳しくないし。。)、気になった点として取り上げたいのは映画のワンシーンに登場したワインのことなんである。ジェームス・ボンドがマネーペニー(ナオミ・ハリス)と共にQ(ベン・ウィショー)の自宅を訪問した際にテーブルに置いてあったワイン。これ、ほんの一瞬しか映らなかったのであまり自信はないけれどもボトルの形状とラベルからすると「シャトー・アンジェリュス(Château Angélus)」だったんじゃないかと。いや、間違っているかも知れないが、そう考えておかしくないかも知れないのはかつてのダニエル・クレイグ作品にもこのワインが2度登場しているからである
 
1回目の登場は2006年の「カジノ・ロワイヤル」。ここでは1982年ヴィンテージが登場した。そして2015年の「スペクター」ではパーカーポイント100点の2005年ヴィンテージが登場。いずれも電車の車内というシーンでジェームス・ボンドがヒロイン役と一緒にいる場に登場していたのだが、「ノー・タイム・トゥ・ダイ」に登場したのがもしシャトー・アンジェリュスだとすればその3回目の登場は”Qの自宅”という意外な場所だったということになる
 
ということはこのワインをチョイスしたのはQだということになる訳で、Qがそんな高級なワインを開けていたとするとそこもまた少し驚きだ。日本で買ったら7万円程度はするサンテミリオンの高級ワイン。プルミエ・グラン・クリュ・クラッセのワインをQがいくら”来客”があるからと言ってポンッと開けるとは・・。そしてQが来客のために準備したワインを目ざとく見つけ、そのラベルを一瞥したダニエル・クレイグ、いや、ジェームス・ボンドは勝手にグラスに注いでそれをまたマネーペニーにも・・いや、それ以上書いてしまうとまずいか。まだ公開して4日目だし。しかし自分だったら家に訪問してきた来客がいくらダニエル・クレイグだったとしても(?)勝手にシャトー・アンジェリュスを飲まれたらキーッ!となってしまいそうだ
 
またそのヴィンテージが何だったのかというのも気になる点だ。そこに何か007の筋書きと関係のある、もしくは何らか意味や含みを持たせた数字(ヴィンテージ)が書かれているのか、どうか。そういったこともこれからワイン専門のジャーナリズムが明らかにしていくと思うから、これらも楽しみにしてしばらく映画の興奮と寂しさの余韻に浸ってみたいと思う
 
シャトー・アンジェリュスではなく全くの別のワインだった、ということであってもそれはそれで新しいワインの映画への登場を歓迎したい
 
 
 

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