アルさんのつまみ食い4

旅と食とワインと・・・ずっと続けます

老牌牛肉拉麵大王 @MRT西門駅

 

 

台北のグルメ情報を調べるとこのお店は高い確率で登場してくるのではないだろうか。台北駅の南側、高いビルが乱立する間を交通量の多い通りが南北に走っている。そのビルとビルの間の細い裏通りのような路地に入っていくと目的の店がある。初見ではなかなか入りづらい路地、しかも仮にその路地に一歩足を踏み入れたとしても何も知らずにこの店の前を通りかかった時に中に入って食べてみようという気にはなかなかならないかも知れない。そういう意味では僕のような小心者がわざわざ足を運んでみようと思わせるあたり、世にあふれるグルメ情報というものの偉大さを認めないわけにはいかないと思った

着席すると日に焼けて色が黒くまるでレスラーのように恰幅のいい店員さんから「炸醤麺ジャージャー麺)?」と聞かれた。日本人が来店したとなれば多くの確率でジャージャー麺を食べて行っているということなのだろう。認めざるを得ない。僕もそのような日本人の一人だ。質問に対してただ頷くだけで済んだ。せいぜい「シャオダ(小さいやつ)」と付け加える程度だった。注文を伝える面倒な手間が省けて良かったと言えなくもない。グルメ情報にあらためて感謝したい

 

まず先に牛肉湯が運ばれてきた。牛肉のスープだ。とはいえ牛肉が入っている訳ではなく牛の出汁がたっぷりのスープである。ジャージャー麵は汁なし麺なのでこのようにスープが別にお椀で提供されているのだろう。台湾人は食事の時に汁ものをよく頼んでいる光景を目にする。麺だけで済ませる、ということがなく他にも副菜なども良く注文している。とはいえ今回の僕のお目当てはジャージャー麺に照準がびたりとあっており他のメニューは視野に入っていない。スープを軽くすすりつつ、目的のジャージャー麺が運ばれてくるのをしばし待った

そして運ばれてきたこの日の目的、ジャージャー麺。大と小があるのだが小でこのボリューム感。見た目はさっぱりとしたミートソーススパゲティ、ボロネーゼといった趣もあるが色がまず違う。こっちはトマトは使っていないだろう。さっそく箸を入れて食べてみた。「うまい・・!」。確かに、うまい。まず麺だ。思い出したのは池袋西部本店の屋上にあるかるかや。太く、太さが均一ではない歯ごたえのあるあのうどん麺。台湾へ来てからというもの麺類はそれなりに食べてきたがこのような麺は初めてだった。同時に、とても好みの麺だった

次に麺の上に乗っているジャージャー(炸醤。ここではジャージャーというフレーズだけを切り取って麺の上にかけてある餡の部分を意味する用語として使っているがそれが正しい料理的表現語法なのかどうかはいささか自信はない)。だいぶニンニクが効いているという噂だったが確かにしっかりとニンニクを感じる。味付けは僕の少ない語彙ではうまく表現することが出来ないのだが、そぼろ状になった牛肉、ニンニク、その他調味料、そして太めの麺。それら全てが混然一体となった絶妙な旨さだ。このジャージャー麺は台湾へ来てから一番うまい料理の一つ、いやもしかしたらザ・トップ・オブ・うまい料理だったかも知れない。それくらいのインパクトがあったのだった

 

 

追記

 

初訪問からその記事を投稿するまでの短い期間に再度訪問したので掲載しておこう。あまり気乗りのしていなさそうなカブちゃんを引き連れて初めてここのジャージャー麵を食べてみてもらった。天邪鬼でしかも食べ物のストライクゾーンが少ないカブちゃんだ、素直に認めている様子ではなかったものの食べっぷりを見ればその舌が大王のジャージャー麵を認めたであろうことは想像できた。小食なので少し残してはいたものの

そして僕は今回牛肉湯麺を注文した。てっきり牛肉も入っているかと思ったのだがそれは牛肉麺の方。これは牛肉湯、牛肉スープ麺なので、スープに麵が入っているだけだった。このスープはジャージャー麵に付け合わせで出てきたのと恐らくベースは同じものだと思う。値段はジャージャー麵と牛肉湯麺は同じ。ジャージャー麵には牛肉も入っているし牛肉スープもつくのでどう考えてもジャージャー麵の方がお得だと思う。ただこのシンプルな麺料理ですらも旨かった

 

 

 

 

老牌牛肉拉麵大王

台湾台北市中正區重慶南路一段46巷7號